精神疾患

うつ病の人にはどう対応すればいい?周囲の対応で嬉しかったこと・辛かったこと

うつ病の人への接し方
yuki-yoshida

楽しみや喜びを失い、ただひたすらにネガティブな感情に苛まれ、鉛のような体の重さが全身を支配する……。

そんなうつ病を患っている方が近くにいる場合、「どのような対応をとればいいのだろう?」と悩んでしまいますよね。

この記事では、うつ病当事者の私が周囲の対応で嬉しいと感じたこと・辛いと感じたことをまとめてみました。

あくまでも一個人の体験談となりますが、身近にうつ病患者さんがいる方々のご参考になれば幸いです。

嬉しかったこと

この章では、周囲の人の対応で嬉しかったことを紹介します。

家族や大学の友人・先生方からのたくさんの優しさに、何度救われたかわかりません……。

両親の理解と援助

私の場合、両親からの理解と援助があることが一番の救いだと思っています。

外出に付き添ってくれたり、日常生活のサポートをしてくれたり、いろいろな話を聞いてくれたり……。

「早く元気になれるように、幸せに生きられるように願ってる」と言ってもらったときは、本当に嬉しかったです。

不登校のときは色々ありましたが(笑)

こうして私の苦しみや辛さに理解を示し、援助をしてくれるのは、本当に、本当にありがたいことだなと思っています。

友人たちからのメッセージや援助

うつ病を患った直後や大学院を休学した直後は、私の近況を知った友人たちがさまざまなな手段で連絡をくれました。

  • 「なにかあったら連絡してね」
  • 「いつでも話聞くからね」
  • 「自分を大切にしてね」

みんな本当に優しくてありがたいです。

また、大学院で唯一の同期だったA君とは、定期的に連絡を取り合っていたのですが、休学中はzoomや電話で何時間も話を聞いてくれました。

優しいA君
優しいA君

人間関係なんだから、○○さん(私の本名)だけが悪いってことは絶対にない。

必ず向こうにも否はあったはず。

だからこれ以上、自分を責めないで。

そんなことをしたら、せっかくの○○さんの良さが消えてしまう。

○○さんは優しすぎるから、むしろ「私は悪くない!!」くらいに思っておく方がいいと思う。

その言葉を聞いたとき、私は思わず泣いてしまいました。

この言葉をきっかけに、少しずつ自責をする回数や時間が減り、自身の歪んだ考えを改めることができました。

A君とは今でも時々連絡を取り合う仲ですが、優しい人が同期※①にいてくれて本当に良かったと思っています。

※①:1年間休学した影響でA君とは卒業時期が1年ズレたので、本当は「元同期」という表現が正しいです。

大学の先生方からの言葉や援助

大学の先生方は、皆さん本当に優しくて、温かくて……。

心がほっこりする言葉をたくさんかけていただきました。

  • 「生きているだけで十分えらいよ」
  • 「死にたくなったらいつでも電話して!」
  • 「人生なんとでもなるんだから、無理しなくていいからね」

特に、学部時代のゼミの先生は定期的に連絡をくださって、それがとても嬉しかったです。

1年の休学を経て復学後も、体調が優れず授業を欠席してしまうことが多々ありました。

しかし、その度に体調を気遣う言葉をかけてくださったり、オンラインで対応してくださったりして、すごくありがたかったです。

良い環境に身を置けて本当に良かったと思います。

とある人からの言葉がけ

  • 「自分を守って、ゆきちゃんらしく生きてね」
  • 「もっと自分の可能性を信じてね」

という、とある人からの言葉がけがとても嬉しかったです。

特に「ゆきちゃんらしく生きてね」という言葉が印象的で、この言葉があったからこそ、「私は自分らしく生きてもいいんだ」と心から思えるようになりました。

ある意味、当ブログのサブタイトルである「生きづらさは私らしさ」という文言の基盤になった言葉だとも言えるかもしれません。

カウンセリングでのあれこれ

うつ病によって大学院を休学していた1年間、行政が運営している無料カウンセリングに通っていました。

カウンセリングでは、私の自己肯定感の低さや家族との確執にスポットライトが当たられ、先生と一緒に過去を振り返りながら色々な話をしました。

幼少期からずっと抱え続けていた苦しみや辛さをひとつずつ紐解きながら、私の思いを肯定し、受け入れてくれたことは、かなりの救いになりました。

小学生時代からあった家族との確執が完全になくなり、良い関係を築くことができたのも、このカウンセリングのおかげだと思っています。

最後の数回は先生や運営といざこざしたので、正直、カウンセリング自体にはあまり良い思い出がないのですが(笑)

自分の中で“足かせ”になっていたさまざまな過去を違う認知で捉え直し、ポジティブに消化できたことは、うつ病回復への大きな一歩になったと思います。

辛かったこと

この章では、周囲の人の対応で嫌だったことを紹介します。

こちらの苦しみを全く理解しようとせず、個人的な考えや主観を押し付けてくる人が多かったです……。

人間関係に口出しをされる

うつ病になって一番嫌だったのは、病気のきっかけになった人間関係について口出しをされたことです。

私たちの関係を何も知らない人から、あーだこーだ口出しされ、見当違いな話をベラベラと言われ続ける……。

私にとって一番大切な人間関係だったため※②本当に腹が立ちましたし、すごく悲しかったです。

正直、これが原因で何人かの友人・知人と縁を切りました。

でもある意味、今後付き合っていく人を見極められて良かったのかな……と思います。

※②:文章の都合上、過去形にしましたが、今でも私にとっては自分の人生史上一番大切な人間関係です。

「元気そうだね」と言われる

久しぶりに会った人から「元気そうだね」「うつ病には見えないね」と言われる……。

これは、うつ病あるあるなのではないかと思います。

人によってはプラスの感情が芽生えることもあるのかもしれませんが、私はとても嫌でした。

そりゃあ、“ある程度動けて元気な姿を見せられる日”しか外出しないですからね。

本当は、体調が悪くてベッドで1日寝ている日の方が断然多いですよ……。

「旅行に行きなよ」と言われる

  • 「気分転換に旅行でも行ってきなよ~!」

とある心療内科医に言われた言葉です。全力の「は???」でした(笑)

気分転換に旅行ができないくらい元気がなく、落ち込んでしまうのがうつ病です。

そんなことすらわからない人が医者をやっている世界。なんとも残酷だなと思います。

現在は、ある程度の条件つきで旅行ができるようになりましたが、それでもやっぱり体調への不安は消えません……。

「辛いのはみんな一緒」と言われる

  • 「今のゆきちゃんには響かないかもしれないけど、たまにはこういう時間があってもいいんじゃないの?」
  • 「辛いのはみんな一緒なんだから、あなただけが辛いわけじゃない」

とある占い師さんに言われた言葉なのですが、これはめちゃくちゃキツかったですね……。

心身のコンディションがベラボーに悪く、藁にも縋るような思いで鑑定を受けに行ったのですが、余計に落ち込んで帰ってきたことをよく覚えています。

辛くて苦しくてどうしようもないときに「たまにはそういう時間があってもいい」「辛いのはみんな一緒」と言われて元気になる人は、誰もいないと思います。

「今のゆきちゃんには響かないかもしれないけど」と前置きするくらなら、最初から言わないでほしかったです。

「ただの情緒不安定」と言われる

  • 「うつだと自分で言える人はうつではない。そんなものはただの情緒不安定(笑)」
  • 「今のゆきちゃんには酷かもしれないけど、こうして悩めるのは、生きていられるのは本当に幸せなこと」

大学院の休学を悩んでいたとき、とある親戚に言われた言葉です。

たしかに、健康な人から見ればそう言いたくなる気持ちも、わからなくはないです。

しかしこっちは、生死の境を彷徨うほどの苦しみの中にいるわけです。

そんなときにこの言葉を言うことが、どれだけ相手の心に傷をつけているか……理解できないものなのでしょうかね。

ひとつ前の項目でも同じことを言いましたが、「今のゆきちゃんには酷かもしれないけど」と前置きするくらいなら、最初から言わないでほしかったです。

「人生これから!」と言われる

  • 「まだまだ若いし体力もあるんだから」
  • 「人生これから楽しいこといっぱいあるよ!」

健康的な人に向けて言うなら、何も問題はないと思います。

でも、うつ病の人に向けて言う言葉としては、正しいとは思えないです。

人生に楽しみや喜びを見出せなくて落ち込んでいる人に向かって「楽しいことあるよ!」と言うのは、あまりにも無責任すぎると思います。

また、常に体調の悪さと闘っているにも関わらず「体力あるんだから」と言うのも、デリカシーがない言葉だなと感じます。

「こっちの苦労も知らずによくそんな適当なことが言えるな……」と思いました。

優しく差し伸べられた手が……

(※書こうか悩みましたが、勇気を出して書きます。)

優しい言葉がけをし、定期的に体調を気遣う連絡をくれていた男性が、実は下心ありきだった……という悲しい出来事もありました。

しかもこれが1人ではなくて、複数人いたので、かなりの人間不信・男性不信になりました。

まともな男性の方が多い(と信じたい)ですが、もし優しくしてくれる男性がいたら、「本当に信頼できる人かどうか」ということを見極めたうえで関わった方が良いかもです。

まとめ

本記事では、うつ病の対応で嬉しかったこと、辛かったことについて体験談をもとにまとめてみました。

あくまでも私の場合ですが、苦しいときにほしかったのは、悩みに対するアドバイスや助言ではありませんでした。

「ただ辛い気持ちに寄り添って、話を聞いて、自分の気持ちや存在を肯定してくれること」。

それだけで良かったんですよね。

もし身近にうつ病で苦しんでいる方がいる場合、ただ話を聞いてあげてください。

そして、その方の気持ちを肯定し、苦しみに寄り添ってあげてください。

きっとそれが、うつ病の方にとって一番の救いになるはずです。

ABOUT ME
ゆき
ゆき
生きづらさマイスター
1996年生まれ。佛教大学大学院・社会学専攻社会学研究科(修士課程)修了。 自身のさまざまな生きづらさ体験をもとに、当事者目線からの情報発信や支援活動をおこなっています。
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