精神疾患

うつ病とはどんな病気?症状や診断、原因についてリアルな体験談をもとにまとめました

yuki-yoshida

「うつ病とは」「うつ病 症状」などで検索をかけると、出てくるのは医療機関の情報ばかり。

「経験した人にしかわからないリアルな情報を知りたいのにな~」と思ったことはありませんか?

私も、うつ病になった当初はそう思っていました。

そこで本記事では、3年前にうつ病を患った私の視点から、症状や原因などの基本情報をまとめてみました。

記事の後半では、うつ病を患うきっかけとなった出来事が起きてから、病院で「うつ病」の診断が下りるまでの経緯を、当時の症状とともに詳しく綴っています。

うつ病の症状や経緯などを知りたい方々は、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

うつ病の基本情報

この章では、うつ病当事者である私から見た「うつ病」の基本情報について解説します。

うつ病とは

うつ病とは、日常生活が送れなくなるほどの強い憂うつ気分や、メンタルの落ち込み、意欲の低下などが続く病気です。

100人のうち約6人が経験する病と言われており、男性よりも女性の方が約2倍ほど発症リスクが高いと言われています。

うつ病は「心の病気」と考えられがちですが、実は「脳の病気」でもあります。

気分の落ち込みや意欲の低下は、膨大なストレスがかかることによって脳のシステムが正常に機能しなくなることが原因で引き起こされるためです。

私自身も、うつ病真っただ中の頃は、「なんかよくわからないけど脳がごちゃごちゃして気持ち悪い」という感覚が強くありました。

それゆえ、書籍を通じて「うつ病は脳の病気」と知った時は、ものすごくスッキリしたのを覚えています。

うつ病の重症度は人によってさまざまで、おおよそ「軽症」「中等症」「重症」の3つにわけれられることが多いです。

私は現在のクリニックに通い始めた当初、「重症に近い中等症」と医師に言われました。

当時の私は気分の落ち込みがかなり強かったですし、食事や入浴、適度な睡眠などもほぼ取れなかったので、納得の言葉でした。

ちなみに今は、発症から3年半ほどが経ち、「軽症」(ほとんど症状が出ない状態)へと回復しています。

うつ病の種類

うつ病にはいくつかの種類があります。

メランコリー型

最も一般的なうつ病。憂うつ気分や興味・喜びの喪失など。

非定型(新型)

遊ぶ時は気分が良くなる。20代から30代の女性に多い。

季節型

特定の季節に発症し、半年ほどのサイクルで症状が繰り返される。

産後型

出産を機に発症する。睡眠不足や疲労の蓄積が原因と考えられている。

季節型うつ病や産後型うつ病は、「季節のせいかな?」「産後のストレスのせいかな?」と、軽く扱ってしまいがちなことが多いです。

少しでも異変を感じたら、医療機関の受診をおすすめします。

主な症状

うつ病の主な症状は、以下のとおりです。

  • 食欲の減退
  • 眠れない(寝すぎる)
  • 体が重い、怠い
  • 普段よりも疲れやすい
  • 胃の不快感
  • めまい
  • 頭痛や肩こり
  • 意欲の低下
  • 自己否定感の高まりなど

これらの症状は、通常であれば、数日が経てば自然に治まります。

しかし、うつ病の場合は、複数の症状が2週間以上持続※①します。

私が「これはちょっとまずいかも?」と思い始め、クリニックを受診したのは、上記のような症状が出始めて2~3か月後でした。

そのため、症状が軽減するまで、けっこうな時間がかかってしまいました。

近年、メンタル面の不調を訴える方が増えており、医療機関の予約が取りづらくなっています。

症状の悪化・長期化を防ぐためにも、早めに医療機関を受診・予約するようにしましょう。

※①:テンションがハイになって活動的になる“躁状態”と、気分が落ち込み何もできなくなる“うつ状態”を繰り返す場合は、「躁極性障害(躁うつ病)」の可能性が考えられます。心配な方は、医療機関の受診を。

原因

うつ病は、何かしらのストレスを機に発症するケースがほとんどです。

人間関係や環境の変化、親しい人との死別・離別などがきっかけとなりやすいです。

私の場合も、人間関係のいざこざが引き金となってうつ病を発症しました。

大きな変化やストレスがあった時は、なるべく心穏やかに過ごせるよう工夫したいですね。

また、何かしらの出来事だけでなく、“性格”も発症要因のひとつだと言われています。

  • 完璧主義
  • 几帳面
  • 責任感や義務感が強い
  • 仕事熱心

上記のように、いわゆる「真面目な性格」の人は、大きなストレスがかかった時にうつ病を発症しやすい傾向があるようです。

私自身も、自他共に認める「真面目人間」なので、他の人よりも発症しやすかったのだろうな……と思います。

診断

うつ病をはじめとした心の病気は目に見えないので、患者本人からの問診を中心に診断が下されます。

問診の際によく用いられるのが「DSM₋5」という、アメリカ精神医学会が作成した診断基準です。

「DSM₋5」には、興味の喪失や食欲の低下(増加)、集中力の低下などの症状が記されていて、それらの症状が2週間以上持続している場合、うつ病と診断されるケースが多いようです。

ただし、診断基準や詳しい判断については、医師によってかなり異なります。

私は症状が出始めてから半年間で3つのクリニックを回りましたが、3人の医師全員が異なる診断を下しました※。

同じような質問をされ、同じようなことを話しても、医師によって言うことが全然違います。

診断に納得できない場合や違和感を抱いた場合は、セカンドオピニオンを受診してみても良いかもしれません。

※②:「適応障害」→「ただの不安障害」→「うつ病」という診断でした。私の場合はパワハラやモラハラがあったわけではなかったので、「ただの情緒不安定」だと思われてしまい、なかなかうつ病の診断が下りなかったです。

治療方法

うつ病の治療方法は、大きくわけて3つです。

  • 休養・環境調整
  • お薬の服用
  • カウンセリング

まず第一におこなうのは、「休養と環境調整」です。

ストレスをできるだけ排除し、なるべく心と体が休まる環境を整えましょう。

私の場合は通っていた大学院を休学し、どうしても外出しなければいけない日以外は、自宅でゆっくりしていました。

最初のうちは「本当に休んでいいのかな……」という気持ちが強かったですが、気持ちを切り替えて徹底的に“休む”ようにしたら、徐々に症状が和らぎました。

うつ病を患ってしまったということは、心と体を酷使し続けていた証拠です。

エネルギーを回復させるためにも、ご自身を労り、穏やかな時間を過ごましょう。

2つ目は、「お薬の服用」です。

お薬の力を借りることで脳の機能が改善され、症状の緩和が期待できます。

お薬を飲む際の注意点は、眠気や吐き気などの副作用が出る場合があることです。

私はかなりの敏感体質なので、普通の人よりも副作用が出やすく、初期の頃はさまざまな副作用に悩まされました……。

しかし、自分に合うお薬を見つけることができてからは、症状がかなり改善されました。

主治医と相談しながら、ご自身が負担なく飲めるお薬を見つけてくださいね。

3つ目は、「カウンセリング」です。

うつ病を患う方は、完璧主義的な思考を持っていたり、なんでもきっちり真面目に行動したりする方が非常に多いです。

(私も、以前はそうでした。)

そのような思考の癖や行動の癖をカウンセリングで見直すことで、うつ病の再発を防ぎます。

私は大学院を休学してからカウンセリングに通うようになり、自身の思考の癖や行動の癖を整理しました。

そのおかげで、自身の性格や価値観をより柔軟なものに変化させることができました。

自身の癖を見つめ直すのは、なかなか大変な作業ではありますが、時間と労力をかけた分だけ良い変化が見込めますよ。

人前では明るい「微笑みうつ病」

近年、「微笑みうつ病」という言葉が話題を集めています。

微笑みうつ病とは、その名の通り、「うつ状態であるにも関わらず笑顔を見せて明るく振舞ってしまう現象のこと」を言います。

うつ病と言えば、落ち込みや憂うつ気分がひどく、暗い表情であるイメージが強いですよね。

しかし、「周囲の人を心配させてはいけない」「異変を悟られてはいけない」という思いから、笑顔を作り、何事もないように明るく振舞ってしまうのです。

私自身も、うつ病の症状が出始めた頃は、周囲に異変を悟られないように明るく笑顔でいることを心がけていました。

それゆえ、症状が悪化して大学院を休学することになった時は、周りの友人や先生方に「そんなふうには見えなかった」と口を揃えて言われました……。

笑顔でいることはとても大事なことですが、辛い時に無理やり笑顔でいる必要はないと思います。

しんどい時、苦しい時は、その気持ちに正直でいたいものですね。

うつ病のリアル体験談

この章では、3年前に「うつ病」と診断された私の体験談を紹介します。

病気のきっかけとなる出来事が起きてから、症状が悪化して診断を受けるまでの半年間をリアルに綴っていますよ。

事の発端

私がうつ病を患うきっかけとなったのは、大学院1年生の秋に起きた「とある人間関係のもつれ」でした。

“今までの人生で一番”というくらい大切な人(男性ですが、恋愛絡みの相手ではないです)と大喧嘩をしてしまったんですよね。

そのことがとにかく悲しくて、辛くて、苦しくて……。

次の日から、人と会っている時以外はずっと泣いていました。

「人ってこんなに大量の涙を作れるんだ……」とびっくりしてしまうくらい、とにかく泣いてばかりいましたね。

また、常に“心ここにあらず”な状態で過ごしていたので、車を運転中や歩行中に事故を起こしかけたこともありました。

今思えば、車の運転は本当に危なかったと思いますし、やめるべきでした。

大切な人と揉めてしまった悲しさ。もう二度と会えない(かもしれない)辛さ。傷つくことを言われてしまった苦しさ。

それも、もちろんありました。

しかし、当時の私が一番しんどかったのは、「世界で一番大切な人を傷つけ、キツイ言葉を言わせてしまった自分の不甲斐なさ」です。

そのため、この頃は、とにかく自分を責めまくっていました。

私

今まで出会った誰よりも大切で、大好きな人だったのに、そんな人を傷つけて嫌な気持ちにさせてしまった私は人間失格だ……

そんなことを、ずーっと考えていました。

とても辛い毎日でしたが、「周囲の人に異変を悟られてはいけない」と、自宅や大学院ではいつもと変わらない様子で過ごしていました。

我ながら、よく頑張っていたと思います。

うつ病の「芽」

事の発端から1ヶ月後、大学院の通学の帰りに激しいパニック発作に襲われました。

過呼吸や胸の苦しさ、強烈な不安感・恐怖感など……。

不登校だった高校生の時以来の激しい発作だったので、とてもびっくりしたことを覚えています。

それ以降、かなりの頻度で発作を起こすようになり、大学院を休む日が多くなりました。

発作以外にも、身体のダル重さや疲れやすさ、思考力の低下などの症状が見られるようになり、徐々に体調が悪くなっていきました。

しかし、この頃の私は、まさかその人間関係のもつれがここまで尾を引いているとは思っていませんでした。

辛かったのは事実ですが、「それが体調不良の原因になっている」という考えが全くなかったんですよね。

なので、明らかに調子のおかしい日が続きながらも、あまり深く考えずいつも通りに過ごしていました。

おそらく、このあたりで何かしらの手を打っていたら、少しは症状の悪化・長期化を防げたのではないかと思います。

症状の本格化

季節は冬に変わり、一気に症状が悪化しました。

この時点での主な症状は以下です。

症状まとめ
  • 何もないのに発狂しそうになる
  • 涙が止まらなくなる
  • 何を食べてもおいしく感じない
  • 趣味や好きなことを楽しめなくなる
  • 毎日「死にたい」「早く地球が滅亡すればいいのに」と思うようになる
  • そんなことしか考えられない自分に嫌悪感を抱き、余計にメンタルが沈む
  • 外出先でのパニック発作がひどくなる
  • 身体のダル重さがひどくなる
  • 毎日12時間以上の睡眠をとるようになる
  • 一度ベッドに横になったら、トイレの限界が来るまで起き上がれなくなる
  • 無性にイライラして、家の中で暴れたり泣き叫んだりするようになる

この頃の大きな変化としては、やはり、12時間以上の睡眠をとるようになったことでしょうか。

とにかく眠くて眠くて仕方なくて、ずっと寝ていた記憶がありますね。

また、趣味や好きなことを楽しめなくなったのも、すごく辛かった記憶があります。

何をする気にもならず、生きる喜びを失い、ひたすらぼーっとしてました。

自分でも驚くほどのスピードで体力と精神力が衰えていき、徐々に外出がしんどくなってきました。

そして、すべてのやる気と興味を失い、1日のほとんどをベッドの上で過ごすようになりました。

この頃になってようやく、この一連の不調の原因が昨年秋の人間関係にあることと、今の自分がかなりひどい状態であることに気づき始めました。おそいです……。笑

うつ病の“なりかけ”

さすがに危機感を覚えたので、高校時代にお世話になっていた心療内科の先生の診察を受けに行きました。

しかしこの時は、まだ症状が出始めて間もないこともあり、「適応障害ないしはうつ病のなりかけ」としか言われませんでした。

「あと2~3か月しても症状が良くならなかったら、正式にうつ病の診断が下りると思う」と言われ、お薬も処方されずに帰されました。

とはいえ、この時点で既に心身は限界に達していたので、お薬が処方されなかったことはすごくしんどかったですね……。

「無理を言ってでも処方してもらえば良かった」と、何度も後悔しました。

その後も症状は改善することなく、日を重ねるごとにひどくなっていきました。

判断力が鈍って思うように物事を決められなかったり、自分の気持ちや行動をうまくコントロールできなくなったり……。

自分が自分じゃない感じで、今思えばちょっと「多重人格」ぽかった気がします。

そんな状況にイライラ・モヤモヤして、何度もパニック発作を起こしていました。

限界

春になり、桜が咲く頃には、私の体はすでに限界を超えていました。

この頃にあらわれ始めた症状をまとめました。

症状まとめ
  • 何をしても憂鬱で一向に気分が晴れない
  • 人に会うことが辛い、怖い
  • それまで以上に喜怒哀楽を感じなくなる
  • 全ての動作が遅くなる
  • 毎日のように悪夢にうなされる
  • 本を読めなくなる
  • スマホをいじるのがしんどくなる
  • お風呂が辛くなる
  • 大好きだった音楽を聴けない

とにもかくにも、かなり無理をしないと何もできない状態になっていました。

しかし“かなり無理をすれば”動けたので、大学院には頑張って行っていました。

大学院がストレスで病気になったわけではなかったので、どうしても行きたかったんですよね。

母の車で駅まで送ってもらい、這うようにして電車に乗り、パニック発作に耐えながら授業を受け、ボロボロの体で帰宅する……。

今改めて振り返ると、よくそんな状態で行ってたなと思います。

それでもやはり、しんどいことには変わりはありませんでした。

「死にたい。なんにもやりたくない。誰とも話したくない。私は病気。人の気持ちを考えられない最低最悪の人間。もう治らない……。」

そんなことを考えて、毎日のように泣いていました。

大学院休学を決めるまで

あまりにも症状が重くなってきたので、勇気を出して周りの人に相談しました。

新しい心療内科に行ったり、学内カウンセリングを受けたり、医療従事者である親戚に相談したり……。

しかし、誰も私の苦しみに寄り添ってくれず、余計にメンタルを病むようなことを言われました。

心療内科医
心療内科医

そんなことでメンタルやられるとかやばすぎ(笑)

カウンセラー
カウンセラー

なんでもっと相手のことを考えて行動できないの?

親戚
親戚

ただの情緒不安定やん(笑)

これらの言葉たちがきっかけで、ずっと抱え続けていた“自責の念”や“自己否定感”はどんどん大きくなっていきました。

そうこうしているうちに、パニック発作が限界を超え、大学院はおろかどこにも行けなくなりました。

近所に買い物に行くことや、ウォーキングに行くことすら困難な状況に……。

そこで別の心療内科へ行ったら、あっさりとうつ病の診断が下りました。

そして大学院を休学することに決め、お薬の服用やカウンセリングなどを利用した本格的な「うつ病治療」が始まりました。

まとめ

本記事では、うつ病の初期症状や診断が下されるまでの経緯について、自身の体験談をもとに掘り下げてみました。

改めて「うつ病は恐ろしい」と思います。

いとも簡単に、人を地獄の果てに引きずり込む力を持っています。

ですが、こんなに色んな症状に悩まされていた私も、3年の時が経ち、徐々に症状が回復してきています。

だから、今この記事を読んでいるあなたもきっと大丈夫です。

ベタな言葉ではありますが、止まない雨はありません。

今はとにかく、できるだけ心身を休ませて、自分を労わりながら日々を過ごすことを大切にしてください。

そうすれば、いつかまた、心から笑顔になれる日が来るはずです。

陰ながら、あなたのことを応援しています。

ABOUT ME
ゆき
ゆき
生きづらさマイスター
1996年生まれ。佛教大学大学院・社会学専攻社会学研究科(修士課程)修了。自身のさまざまな生きづらさ体験をもとに、ブログやSNSで情報発信をしながらお話会・講演等をおこなっています。
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