2026年4月より、講演・講義などの活動体制が大幅に変わります
これまで、講演や講義などの活動は「できるだけ柔軟に対応したい」という思いから、細かい条件はあえて設けていませんでした。
ですが、2026年4月より、活動に関する一定の条件を設けるとともに、すべての活動をオンライン限定に変更することになりました。

この記事では、活動体制を変更することになった理由について、正直な思いをまとめました。
不登校やひきこもりの支援団体・支援機関に携わる方は、活動のご依頼前に目を通していただけますと幸いです。
自分を守るための「線引き」

今回、活動のご依頼にあたっていくつかの条件を設けることになりました。
その目的は、心身を守り、安心して活動をおこなえるように「線引き」をするためです。
価値観や運営体制の違い
2024年6月に事業を立ち上げてから、さまざまな団体・機関からのご依頼を受け、多くの活動をさせていただきました。
直接の活動はなくとも、積極的に交流を図ってくださる支援団体の方も多く、たくさんのご縁が広がり感謝の気持ちでいっぱいです。
しかし、その一方で、
- 支援活動に対する考え方の違い
- 運営体制の違い
- 契約・合意に対する認識の違い
などの“小さなズレ”が重なり、コミュニケーションに戸惑いを感じることが増えていきました。
その戸惑いはやがて“ストレス”へと変わり、昨年(2025年)の春ごろに大きく体調を崩しました。
たんぽぽの栞の活動だけでなく、私生活にも影響が出てしまい、これまで以上に「生きることがしんどい」と感じるようになりました。
「個人で活動する」ということ
「たんぽぽの栞」は、ボランティア団体や支援団体ではありません。
“フリーランス”の個人事業であるため、活動のすべてを一人で管理・運営しています。
支援団体の場合、行政のサポートが入ったり、地域の団体同士で協力し合いながら活動できたりすることもあると思います。
しかし、私の場合はそうした“支え”がないため、
- 何を基準に活動を引き受けるのか
- どうすれば無理なく、スムーズに活動ができるのか
- もしトラブルが起きた場合、どのように対応すればいいのか
ということを、すべてを自分で考え、決めていかなければなりません。
不登校・ひきこもり支援において「フリーランス」という形で、一人で事業を運営している方はほとんどいないように思います。
そのため、周囲からの理解を得にくく、不適切な対応をされることも少なくありませんでした。
近年は「フリーランス保護法」という法律も施行され、フリーランスが安心して仕事をおこなうための土台が社会的に整えられています。
私自身もいろいろな経験をしたことで「あらかじめ条件を明確にしておくことの大切さ」を改めて感じるようになりました。
体験を「話す」ということの重さ
もうひとつ、不登校・ひきこもりの経験者として主張したいのは、
- 不登校やひきこもりの体験を、経験者が人前で話す
という活動は、決して簡単にできるものではなく、それ相応の“負担”が伴うということです。
不登校やひきこもりの体験を言葉にして表現するためには、その出来事を丁寧に見直し、数々の“負の感情”と向き合う過程が必要になります。
その作業が不十分だとフラッシュバックが起きてしまい、心身が大きく揺さぶられる可能性が高いからです。

数年前までの私がまさにそうで、数えきれないほどのフラッシュバックに苦しみました。
意外と見落とされがちですが「不登校やひきこもりを経験した」という事実だけでは、その体験を誰かに伝えることはできません。
- 苦しみや葛藤から目を逸らすことなく、逃げずに向き合い続ける
- 気が遠くなるほどの長い年月をかけ、ひたすらに自分と対話し続ける
そのような作業を地道にコツコツおこなうことで、はじめて「体験を言葉で表現する」ことが可能になると思います。
その重さは、他人に伝わりづらい
しかし、そのような作業を経て「体験を伝える」ことができるようになったとしても、心身への負担がゼロになるわけではありません。
どれだけ時間が経っても、その体験の重さや苦しさ、悲しさが消えることはないからです。
さらに、講演や講義という形になると、
- 打ち合わせ
- 内容の確認や構成準備
- 資料の準備
といった工程も含めて、大きなエネルギーが必要になります。
- 数々の苦しみや葛藤について、その体験を“冷静に語る”ということ
- コンディションが揺らがないように気を配りながら、事前準備に大きなエネルギーを割く必要があること
これらの負担は、実際に活動をおこおなう人間にしかわからないものだと思います。
そのため「こちらの負担の大きさが十分に伝わっていないのではないか?」と感じることも少なくありませんでした。
それでも、活動を続けたい
体調不良が想像以上に長く続いたため、一度すべての講演・講義活動をやめて、ブログやSNSの発信活動に専念することも考えました。
しかし、ありがたいことに、
- 「ゆきさんの話をもっと聞きたい」
- 「経験者の体験談が一番心に響くので、もっとたくさん活動してほしい」
と言ってくださる当事者の方や親御さまも多く、そのお声にたくさんの勇気と希望をいただいてきました。
講演や講義の活動は、私にとって簡単にできるものではないことは事実です。
しかし、もしも私の話が誰かの“救い”になるのであれば、これからもいろんな活動を続けていきたいと思っています。
そのため、すべてを遮断するのではなく、
- 心身の負担を減らし、安心して活動したい
- 当事者の方や親御さまの力になりたい
という、両方の思いを大切にできる活動体制を整えたいと考えるようになりました。
自分を守ることが、活動を守ることにつながる
たんぽぽの栞の発信活動は、ずっと暗闇を彷徨っていた私がようやく見つけた「大切なライフワーク」です。
しかしそれは、私自身の健康や安心があってこそ続けられるものだと思います。
今回の条件設定は「自分の心身を守り、安心して活動を続けるための線引き」だということを、何卒ご理解いただけますと幸いです。

オンライン支援への想い

今回の体制変更により、活動のすべてをオンラインでおこなうことになりました。
そこには、不登校・ひきこもりの経験者ならではの「想い」があります。
「外に出る支援」が前提になっている現状
不登校やひきこもり、生きづらさを抱えている方への支援は、
- 外に出て、相談員やカウンセラーと話す
- どこかの居場所や当事者会に行き、交流の場を持つ
というような“外出必須の支援”が当たり前となっているように思います。
しかし、不登校やひきこもり当事者の中には、外に出る気力すらない方や、対人関係への強い恐怖を感じている方も少なくありません。
- 支援を頼りたいけれど、外に出て人と会うことができないから、どうしようもない
そのような気持ちを抱えながら自宅で悶々と過ごしている当事者の方は、きっと想像以上にたくさんいらっしゃると思います。
「支援につながれなかった」過去の自分
過去の私が、まさにそうでした。
体調不良や人間不信が強くあり、一般的な不登校・ひきこもり支援を十分に受けることができなかったのです。


上記の記事の「『自分で人生を切り拓くこと』の重要性を伝える」という項目に、詳しい経緯を書いています。
だからといって「何もせず家にいればいい」と思っていたわけではありません。
- 本当は変わりたいけれど、こんな自分でも安心して受けられる支援が見つからない……
そんな思いの中で、どうすればいいのかわからずに立ち止まっていた時期が長く続きました。
オンラインだからこそ、救える人がいる
対面による相談・居場所活動などの支援に救われている当事者の方は、たくさんいらっしゃると思います。
しかし、対面支援以外の選択肢や手段が見えにくいことで、
- ふつうの支援すら頼れない自分は、どうしようもない人間だ
と感じ、誰にも存在を知られることなく、一人で孤独と闘い続けている方がいるのも事実です。
少し前までは、外に出ないと情報を得られず、“人生を変えるきっかけ”を見つけることが難しかったかもしれません。
しかし現在は、オンラインを通じて自宅から情報を得たり、人とつながったりすることが簡単にできる時代です。
- ブログやSNSを見る
- 動画やテレビ番組を視聴する
- オンラインで話を聞く・する
このようなオンラインツールの利用は、外に出ることや対面での関わりが難しい方でも取っつきやすく、比較的簡単に“新しい世界”とつながることができます。
そのつながりが、当事者の方にポジティブな変化を与え、人生が変わるきっかけを見つけられる可能性も十分あると思います。

私自身も、不登校・ひきこもりを脱したのは「テレビ番組」を観たことがきっかけでした。
また、経験者の方が書いたブログやSNSにたくさん助けられたからこそ、希望を忘れず生きることができました。
「講演」という形で支援をおこなう場合、対面での現地開催だと、当事者の方にとってはハードルが高くなりがちです。
しかし、オンライン開催の場合、
- 顔出しをしなくていい
- 途中参加や途中退出がしやすい
- 合わない場合でも距離を取りやすい
というような、現地開催にはない「気軽さ」があり、参加へのハードルが低くなります。
その気軽さが“何かを変える最初のきっかけ”につながることもあるのではないでしょうか。
親御さまにとっても、気軽に頼れる支援を提供したい
「オンライン支援は気軽に触れられる」というメリットは、当事者を支える親御さまにも当てはまると思います。
対面開催の「講演」や「交流会」だと、
- 知り合いに会うのが怖い
- 会場まで行く余裕がない
- 時間や費用の負担が大きい
という理由で、イベントに興味があっても参加をためらう方も少なくないと思います。
しかしオンライン開催であれば、顔を出さずに自宅から気軽に参加できるため、これまで届かなかった方にも必要な情報を届けられる可能性があります。
当事者や経験者の声を、より広く社会へ届けるために
さらに今後、私のように「自分の思いや体験を発信したい」という目標を持つ当事者の方も出てくるかもしれません。
そのような方が出てきた場合、
- 対面で話すのはハードルが高いけど、オンラインだったらできるかも
と感じる方も多いではないかと思っています。
不登校やひきこもりは、経験した人間にしかわからない苦悩や葛藤がたくさんあります。
そのため、当事者や経験者のリアルな思いは、積極的に社会へ発信していくべきだと思っています。
- 経験者や当事者の声を、負担が少ない形で、より広範囲に届ける
そのための手段としてオンラインを活用することは、これからの不登校・ひきこもり支援をよりよくする“第一歩”になると思います。
「家にいながら」「自分の力で変わる」という選択肢を広めたい
- 「支援=外に出て人と会わないと受けられないもの」
このような前提が当たり前になっているのは、当事者の方や親御さまだけでなく、支援者の方も同じだと思います。
それは、支援団体や支援機関の担当者に「オンラインを利用した支援」の存在や、その必要性が十分に広まっていないからだと推測します。
不登校やひきこもりに悩む方は年々増え続けており、その状態が長期化している方も少なくありません。
こうした状況は「対人支援」だけでは救いきれない当事者の方が増えていることを示しているように感じます。
だからこそ私は、経験者の立場から、
- 対人支援を受けられず、誰にも知られることなく一人で苦しんでいる当事者もいる
- 自宅にいながらでも、自分を変えるきっかけを見つけることはできる
ということを、オンラインでの講演・講義活動に自ら積極的に取り組むことで、より多くの方に伝えていきたいと思っています。
何卒ご理解いただけますと幸いです。
まとめ|安心して“届ける”ための第一歩

今回は、活動体制の変更について、自身の思いをまとめました。
- 自身が安心して、スムーズに活動できる土台を整えたい
- これまで支援が届きにくかった方に、少しでも「人生を変えるきっかけ」を届けたい
今回の変更は、“自身が安心して活動をつづけながら、必要な方に情報を届けるための第一歩”として受け取っていただけたら嬉しいです。
今後とも、たんぽぽの栞をよろしくお願いいたします。




