うつ病当事者は、周りからの言葉や対応をどう捉えている?|経験者がリアルな本音をまとめました
「励ましたほうがいいのかな」
「そっとしておいたほうがいいのかな」
身近な人がうつ病になったとき、本人との接し方に悩む方も多いと思います。
繊細な病気なだけに「自分の言葉で相手を傷つけたくない」という思いも強くなりがちですよね。
そこでこの記事では、うつ病を経験した私が、周りの人からの言葉や対応をどのように受け止めていたのかを紹介します。
記事の後半では、うつ病の家族や友人への接し方を悩んでいる方へ向けて「経験者として伝えたいこと」もまとめています。
うつ病の人に、どんな言葉をかけたらいいのか。どう接すれば負担にならないのか。
本記事が、あなたの悩みを紐解く一助となれば幸いです。
- うつ病を患った家族や友人への接し方に悩んでいる
- どんな言葉をかければいいかわからない
- うつ当事者の気持ちや考え方、捉え方を知りたい
うつ病体験談|周りからの嬉しかった対応

うつ病を患ったとき、友人や知人、当時通っていた大学院の仲間や先生方からたくさんのやさしさを受け取りました。
この章では、うつ病だったときに嬉しかった周囲の対応について紹介します。
「これ以上、自分を責めないで」
私は対人トラブル(喧嘩)がきっかけでうつ病を患ったのですが、その時は「私のせいで相手を傷つけてしまった」という“自責の念”が強くありました。
そんな私の状況をはじめて大学院の同期に打ち明けたとき、こんな言葉をかけてくれました。
「これ以上自分を責めたら、せっかくの〇〇さん(私の苗字)の良さが消えてしまう」
「人間関係なんだから、〇〇さんだけが悪いってことは絶対にない。だから『私は悪くない!』くらいに思ってもいいのでは?」

うつ病を患った当時、私は大学院に通っていました。
そんなふうに言ってくれる人はほかに誰もいなかったので、この時は思わず、電話越しに泣いてしまいました……。
この言葉をきっかけに、少しずつ自分を責める回数や時間が減り、自身の歪んだ考えを改めることができました。
心の痛みに寄り添い、共感してくれる
大学院の後輩たちには「余計な心配をかけたくない」という思いがあったので、うつ病のことや休学の経緯などは話していませんでした。
それにもかかわらず、休学期間中に大学へ行ったときに「ゆきさんのしんどさ、すごくよくわかります」と言って、私のつらさにやさしく寄り添ってくれました。
- 「私も昔、他人と分かり合えなさ過ぎて家にひきこもってた時期があって、今思えば『うつ』みたいな感じでした」
- 「今は分かり合えない人と全員縁を切ったからすごく楽だけど、あの頃のこと思い出すと今でもすごく苦しいです」
- 「人間関係は本当に、難しいですよ……。」
そのような、できれば思い出したくないであろう出来事を、正直に話してくれたのです。

詳しく話していなかったとはいえ、もしかしたら、経験者だからこそ感じること、わかることがあったのかもしれません。
「とにかく今は、自分を大切にすべきです」ということも何度も言ってくれて、その温かさにたくさん救われました。

「自分を守って、ゆきちゃんらしく生きてね」
大学院を休学した直後、中学時代にお世話になっていたスクールカウンセラーの先生と電話で話す機会がありました。
そのときに、
- 「自分の可能性を信じましょう!自分を守って、ゆきちゃんらしく生きてね」
という言葉をかけていただきました。

この言葉があったからこそ、
- 「私は自分らしく生きても大丈夫なんだ」
「もっと自分の可能性を信じてみようかな」
と素直に思えるようになりました。
10代の頃から私を知っている方の言葉だったので、すごくストレートに心に響きました。
「つらくなったら、いつでも電話して!」
大学院を休学する直前、学部時代からお世話になっている先生からこんな言葉をかけていただきました。
「つらくなったら、いつでも電話して!」
「大学の先生」という立場であるにもかかわらず、私と同じ目線に立って、友だちのように接してくださったことがすごく嬉しかったです。
結局、恐れ多くて一度も電話はできなかったのですが、復学後は定期的にランチに連れて行ってくださったことも良い思い出です。


起業を決める前は、将来のことも一緒に考えてくださって、よく相談に乗っていただいていました。
何気ない話題で連絡をくれる
これも先ほどと同じ大学の先生からの対応なのですが、大学院を休学していたとき、何気ない話題で連絡をくださったことが何度かありました。
「体調どう?元気?」というような、核心をつくメッセージではなく、
「今日は雨だね。面白そうなネット記事見つけたから送るね」
という感じで、体調や病気のこと以外のことで、私が自然に興味を持てるような内容の連絡をくださったのです。
あえて核心をつかない(体調のことに触れない)さりげない優しさに、とても心が救われました。

一度、めちゃくちゃ心が病んでいた時にたまたま連絡をくださったことがあって、思わず号泣してしまったことがあります。
「生きているだけで十分えらいよ」
1年間の休学を経て大学院へ復学した時、久しぶりにお会いした先生からこんな言葉を言われました。
- 「元気?なんて聞かない方がいいよね。生きてるだけで十分えらいよ」
これはうつ病あるあるだと思うのですが、うつ病当事者に「元気?」「元気そうだね」と
心を病んでしまった人間の心理をものすごく的確に理解してくださっている先生だなと感じました。
おそらく、この言葉がすっと出てくる人はなかなかいないんじゃないかな思います。

もしかしたら、発信活動をするようになった今のほうが、ぐっと来ている言葉かもしれません。
私もこの先生のように、相手の心にやさしく寄り添える人になりたいです。
うつ病体験談|周りからのつらかった対応

うつ病の苦しみは、経験していない方にはなかなか伝わりづらいです。
そのため、周りの人からの言葉や対応に心が傷ついてしまう出来事も多々ありました。
この章では、うつ病だったときに「つらい」と感じた周囲の対応について紹介します。
発症の原因となった出来事に口出しされる
うつ症状がひどかった時に一番つらかったのは、病気を患うきっかけになった人間関係について口出しをされたことです。
- 相手とのやりとりや関係性を勝手にジャッジされる
- 私たちの関係やコミュニケーションを誤解し、見当違いなことを言われる
- 「相手はこう思ってたんじゃない?」「もう関わらない方がいいよ」など、こちらが求めていない意見を言われる
私のように、対人関係のストレスやトラブルなどがきっかけとなってうつ病を発症する方はとても多いと思います。
だからこそ、相手との関係やコミュニケーションを詳しく知らない第三者から勝手に関係性をジャッジされてしまうと、ものすごく不快な気持ちになります。
個人的な価値観や見解を押し付ける前に、まずは本人(私)の思いやしんどい気持ちを大切にしてほしかったです。

そもそも、うつ病に関係なく、他人の人間関係を勝手にジャッジする権利は誰にもありません。
症状の重さを理解してもらえない
うつ症状がひどくなり外出が難しくなってきた頃、私は次第に「大学院の休学」を考えるようになりました。
しかし、そのとき相談に乗ってくれた人たち(先生、友人、親戚、カウンセラー、医師など)は、全員そろって休学に反対していました。

「休学したら、たとえ体調の良い日があっても行けなくなるし、人に会う機会がなくなるのはしんどくない?」

「休学なんてもったいない。そこまでする必要ないんじゃない?」
これらの言葉は「体調が良い日」がほとんどなく、人と会うことに大きな負担を抱えていた当時の私にとって、大きな負担になりました。
もしかしたら元気そうに見えていたのかもしれませんが、それは「人と会えるコンディションのときしか外出していなかったから」にすぎません。
- 元気そうに見えるのは「偽りの姿」で、本当の私ではない
ということを、ちゃんと理解してほしかったです。

旅行に行くことを勧められる
うつ病の症状が出始めた頃、10代の頃からよくお世話になっていた心療内科医の診察に行くと、こんなことを言われました。
「気分転換に沖縄にでも行ってきなよ~」
医師の性格をわかっていたとはいえ、ここまで無神経な人とは思わず、正直に言って「目が点」でした。
うつ病を患うと、楽しいことや趣味などに興味を持てなくなったり、喜怒哀楽を感じることが難しくなったりする病気です。
心の病を専門に扱う医師であれば、病気のしんどさやつらさは「正しく」理解してほしいと感じました。

旅行に行ける元気があるなら、わざわざ心療内科なんて受診しません。
「元気な姿を見れて安心した!」
大学に行った時や友人と会った時など、
- 「元気そうだね」
- 「うつ病には見えないよ」
- 「元気な姿を見れて安心した!」
と言われ、なんとなくモヤモヤした気持ちになることが少なくありませんでした。

これは“うつ病当事者あるある”なのではないかと思います。
「症状の重さを理解してもらえない」の項目にも書きましたが、私たちは基本的に、
- 「ある程度動けて、他人に元気な姿を見せられる日しか外出しない」
ですし、たくさん無理して、頑張って、なるべくいつもと同じ状態を“演じている”ことが多いです。
目に見えるもの(服装や表情、メイクなど)だけが、その人の全てではありません。
本当は、心も体もボロボロの状態で、必死に日々を生きているということを知ってほしかったです。

「苦しいのはみんな一緒」
うつ症状がひどくて悩んでいたとき、とある人からこんなことを言われました。
「どれだけしんどくても、日常に紛らわせてやり過ごしている人もいれば、ちゃんと病院行って治療受けてる人もいる」
「苦しいのはあなただけじゃない。みんな一緒なんだから」
生きているといろんな悩みが出てきますし、しんどい気持ちがゼロの状態で生きている人はいないと思います。
けれど、つらくて苦しくてどうしようもないときに「みんな一緒なんだから」と言われて元気になる人は、誰もいないと思います。
正論よりも、心が安らぐ温かい言葉をかけてほしかったです。

ポジティブな励ましに心を抉られる
私の近況を知った友人・知人たちからの「ポジティブな励まし」に心を抉られたこともありました。
- 「まだまだ若いし、体力もあるんだから、人生これから楽しいこといっぱいあるよ!」
- 「落ちた後は必ず上がるし、落ちた分だけいいことがあるから、ゆきちゃんも絶対に大丈夫!」
人生に楽しみや喜びを見出せず、体調も不安定で、未来にたくさんの不安を抱えている人に対して、
- 「これから楽しいことあるよ!絶対に大丈夫だよ」
と言うのは、あまりにも無責任ではないかと感じます。
病気を経験していないと理解しづらい部分もあるとは思いますが「相手の痛みを想像する気持ち」は持っていてほしかったです。
正論が苦しかった
いろんな言葉や対応の中で私が一番つらいと感じたのは「正論」をぶつけられたときでした。
- 「今のゆきちゃんには響かないかもしれないけど、たまにはこうやってゆっくり休む時間があってもいいんじゃないの?」
- 「今のゆきちゃんには酷かもしれないけど、こうして生きて悩めるのは本当に幸せなことだよ」
そう言いたくなる気持ちもわからなくはありませんが、しんどいときに正論をぶつけられても、すぐには受け入れられないことが多いです。

頭では「休んだほうがいい」と理解していても、うつ病の現実を受け止めきれない時期もあります。
「生きたくても生きられない」ことで悩んでいる人がいるのと同じように「生きるのがつらい」という悩みを抱えている人もいます。
「今のゆきちゃんには響かないかもしれないけど」と前置きするくらなら、最初から言わないでほしかったです。
うつ病体験談|経験者として伝えたいこと

この章では、1章と2章の体験談をふまえて「経験者として伝えたいこと」をまとめました。
あくまでも一個人の私見にすぎませんが「うつ病のとき、周りからこういう関わり方をされたかった」と思うことを紹介しています。
少しでも参考になる部分があれば幸いです。
“普通の対応”が一番うれしかった
身近にうつ病当事者がいる方にへ一番伝えたいのは、
- 「何か特別なことをしなければ」「励まさなければ」「傷つけないようにしなければ」と思いすぎないでほしい
ということです。
「なんとかして相手を助けたい」「元気になってもらいたい」と思う気持ちは、とても尊いものだと思います。
しかし、あまりにも相手への感情が強すぎると、その気持ちが重く感じてしまうこともあります。
なぜならば、その感情の裏にある「傷つけたらどうしよう?」「ちゃんと励ませるかな?」という不安を敏感に察知してしまうからです。

そのような気持ちは、たとえ言葉に出さなくても自然と相手に伝わるものです。
うつだった当時、周囲からの「この人には下手な言葉をかけられない」という思いを敏感に察知しすぎて、逆に気を遣って疲れてしまったことが多々ありました。
病気とは何の関係もない話題でさりげなく連絡をくれた大学の先生ように、できるだけ“普通の対応”をしてもらえた方がありがたかったです。
「声をかけやすい雰囲気」がある人に救われた
以前、別の記事で、家族からの「私に手伝えることがあれば何でも言ってね」という言葉に救われたエピソードを紹介したことがあります。

このときに私が救われたのは、家族からの言葉だけではありません。
- 「家族がいつも穏やかで、やさしくて、困ったときに声をかけやすい雰囲気があった」
これこそが、うつ病だった当時の私にとっての一番の救いだったように思います。
いくら「何かあれば言ってね」と言われたところで、声をかけにくい雰囲気の人にSOSは出せません。
無理して自分を演じる必要はありませんが、可能な範囲で「相手が声をかけやすい雰囲気づくり」を意識してみてください。
ポジティブワードは苦しみが増してしまう
うつ病になると、気持ちが落ち込んでネガティブ思考が強まってしまうことも多いです。
しかし、そのような状況で、
- 「大丈夫だよ」
- 「今を乗り切ればいいことがあるよ」
というような、前向きな気持ちを持たせるようなポジティブな言葉を伝えることはあまりおすすめしません。
特に私の場合、未来に対する希望を持つことが難しい状況だったので、明るい未来を匂わす言葉を言われるたびに、
- 「もしずっと苦しみが続いたら?」
- 「いつまでもこのままだったら?」
という不安やネガティブが余計に強まって苦しみが増したのをよく覚えています。

私は不登校やひきこもりを脱した直後にうつ病を患ったので「未来を信じて傷つくことが怖い」という思いが強くありました。
相手を励ましたい気持ちはわかるのですが「ポジティブな言葉が逆効果になることもある」ということは、頭の片隅に置いといていただけると有難いです。
上から目線のアドバイスや正論はいらない
悩んでいる人を前にしたとき「相手の心を軽くしたい」という思いから、アドバイスや解決策を伝えたくなる方もいると思います。
しかし、正直に言うと、心がピークに落ち込んでいるタイミングで聞かされる正論ほど、つらいものはありません。
では、うつ病当時の私は何を求めていたのかと言うと「共感と受容」です。
- 「私の苦しみやしんどさ、心の痛みに共感してほしい」
- 「うつ病で何もできない私のことも、受け入れてほしい」
「ああすればいいんじゃない?」「こう考えればいいんじゃない?」というアドバイスは、うつ病当事者の心を救うどころか、逆に追い詰めてしまうことの方が多いです。
相手の存在を全肯定するくらいの気持ちで、心の痛みにやさしく共感し、受け入れることを大切にしてほしいと思います。

同じ対応や言葉でも、受け取り方は人それぞれ
ここまでいろいろなことを書きましたが、うつ病当事者への接し方に「正解」はないと思います。
同じ対応や言葉でも、受け取り方は人それぞれですし、タイミングによって変わることもあるはずです。

「これから楽しいことあるよ!」という言葉も、もっと心身に余裕がある時ならば、素直に受け入れられたと思います。
大学講義の記事にも書いたのですが、相手とのコミュニケーションを円滑にするためには、その時々で相手の状況を見ながら、臨機応変に対応することが大切だと思います。
私のブログや関連書籍などは、あくまでも「参考程度」に留めておいて、
- 「今この人はどんな心境で、どんな言葉を求めているのだろう?」
という、相手のこころに目を向けることを忘れないでほしいです。
うつ病体験談|まとめ

本記事では、うつ病を経験した私が、周りからの言葉や対応をどう受け止めていたのかについてまとめました。
この記事で書いたことは、あくまでも一経験者の私見にすぎません。
私と同じような経験をしていても、私とはちがう考え方・捉え方をしているうつ病当事者の方もいるはずです。
だからこそ、うつ病当事者と向き合うときは、相手との関係性や性格・タイミングなどを考慮して接し方を考える必要があります。
「相手のこころを見る」ということを最優先に考えながら、本記事を無理のない範囲で活用していただけると幸いです。


