精神疾患

うつ病家族への接し方:おすすめの対応を“うつ病当事者”がまとめました

yuki-yoshida

楽しみや喜びを失い、ただひたすらにネガティブな感情に苛まれ、鉛のような体の重さが全身を支配する……。

そんなうつ病患者さんが身近な家族にいる場合「どのような対応をとればいいのだろう?」と悩んでしまいますよね。

この記事では、4年前にうつ病を患った私が家族(両親)からの対応で嬉しかったことをまとめています。

後半では、それらの経験談をもとに「うつ病患者さんへのおすすめの接し方・言葉がけ」もまとめています。

あくまでも一個人の体験談となりますが、身近にうつ病患者さんがいる方々のご参考になれば幸いです。

記事の執筆者(ゆき)は、20代女性・両親との実家暮らしです(兄弟なし)。

嬉しかった対応【行動編】

この章では、両親にしてもらって嬉しかった行動・サポートをまとめました。

うつ病患者さんに対してだけでなく、そのほかの精神疾患や体調不良に悩んでいる方に対しても応用できる対応だと思います。

外出に付き添ってくれる

1つ目は、外出に付き添ってくれることです。

体調が優れない時や、遠くの外出で不安が大きい時は、父や母が外出に付き添ってくれます。

具体的なシチュエーションは、クリニックの診察や近所への買い物、遠方へのお出かけ・旅行などです。

車で外出する際は、代わりに運転をしてくれることも多く、とても助かっています。

買い物や片づけを手伝ってくれる

2つ目は、買い物や片づけなど、私ができない作業を代わりにおこなってくれることです。

  • 在庫が切れた日用品を買って来てくれる
  • フリマアプリの商品を代理で発送してくれる
  • 部屋の掃除や片づけを手伝ってくれる
  • 返却期限が迫った本を図書館に持って行ってくれる

うつ病を患っていると、自分が思うタイミングで、思うような行動を起こせない時も少なくありません。

両親は、そのことをしっかりと理解した上で、サポートをおこなってくれています。

体を休める環境を整えてくれる

3つ目は、体を休める環境を整えてくれることです。

私はHSP気質なので、疲れが溜まっている時は、一人でゆっくり体を休ませる必要があります。

そのため、体調が優れない日があると、父と母が夕方ごろまで外出し、自宅で安静に過ごせるよう配慮してくれています。

父や母は還暦を過ぎており、決して若くはありません。自宅でゆっくりしたい気持ちも当然あるはずです。

それでも「あなたが元気になれることが大事だから」と、無理のない範囲で私が求める環境を整えてくれます。

体調に合わせた献立を考えてくれる

4つ目は、体調に合わせた献立を考えてくれることです。

一口に「体調が悪い」と言っても、その時に体が欲する食物はさまざまです。

あっさりした食事が良い時もあれば、焼き肉や唐揚げのような“ガッツリ系”が食べたい時もあります。

母は、そんな私の気持ちを考慮した献立を考えてくれ、準備してくれます。

「今日の私は何を欲しているのか」を考えることは「自分を知る」ことと同意義です。

自分を知ることで、生きづらさやとの付き合い方も少しずつわかってきたので、すごくありがたいサポートだと思っています。

サポート機関を一緒に探してくれる

5つ目は、サポート機関を一緒に探してくれたことです。

うつ病発症時、父はネットを使い、さまざまなカウンセリング施設や相談機関を探してくれました。

その情報をプリントアウトして渡してくれたおかげで、私は行政の無料カウンセリングに辿り着き、約1年間通うことができました。

症状が重い時はスマホで情報を調べることすら難しい場合が多いので、ものすごく助かりました。

嬉しかった対応【接し方編】

この章では、両親にしてもらって嬉しかった接し方・言葉をまとめました。

一番身近にいる家族だからこそできる接し方、言える言葉ばかりです。

「こうしたい」に寄り添ってくれる

1つ目は、私の「こうしたい」という願いや希望に寄り添ってくれたことです。

うつ発症直後、両親は「あなたが心地よく過ごせるために、私たちができることがあれば教えてほしい」と言ってくれました。

そのため私は、自分が家族にしてほしいことを都度考え、その気持ちを両親に伝えました。

  • 〇〇に行きたい、△△が食べたい
  • 体調が悪い時は一人でゆっくり休める環境にしてほしい
  • もし泣いていたらゆっくりと話を聞いてほしい
  • 都合が合えば外出に付き添ってほしい

両親は、可能な範囲で上記のような願いを叶えようと奮闘し、サポートしてくれました。

私が比較的早くうつ症状から脱せたのは、両親が私のために「心地よい生活づくり」を徹底してくれたからだと思っています。

とことん話を聞いてくれる

2つ目は、とことん話を聞いてくれたことです。

症状が重い時は、頭の中が混乱してパニックになることも多かったので、その混乱を鎮めるために母がたくさん話を聞いてくれました。

夜中の3時くらいまで話し込むことも少なくなく、友人や知人には話しづらい話題も、快く聞いてくれました。

当時はものすごく苦しかったですが、母と2人で友達のように話合えたことは、私の大切な思い出のひとつになっています。

「幸せに生きられるように願ってる」

3つ目は「早く元気になれるように、幸せに生きられるように願ってる」という、父からの言葉です。

私はそれまで「父に嫌われているのではないか?がっかりさせてしまっているのではないか?」という思いが強くありました。

真面目で教育主義な人だったので、不登校やひきこもり、うつ病になった私のことを軽蔑していると思っていたからです。

そのため、こうして素直な思いを伝えてくれたことはすごく嬉しかったです

うつ病を寛解させた今でも、人生に行き詰ることがあると必ず思い出す言葉です。

おすすめしたい接し方

この章では、1章と2章の体験談を踏まえながら、うつ病患者さんへのおすすめの接し方・言葉がけを紹介します。

当事者目線で語られた「対応方法」はかなり貴重だと自負しています。皆様のご参考になれば幸いです。

苦しみに寄り添い、共感する

1つ目は、苦しみに寄り添い、共感することです。

うつ病患者さんは、周りの方が想像する何倍も大きな苦しみを抱えながら生きています。

その苦しみを軽減するために、最も実践しやすい方法は「周りにいる家族や友人からの理解と共感」だと思っています。

たとえ目に見える状況が変わらなかったとしても、優しく寄り添ってくれる人が近くにいるだけで心はかなり救われます。

ありったけの優しさと真心で、大切な人の心を癒してあげてほしいと思います。

話をたくさん聞く

2つ目は、話をたくさん聞いてあげることです。

心の苦しみを一人で抱えきれなくなった時「誰かに話を聞いてほしい」という気持ちから、家族を頼るうつ病患者さんも多いと思います。

そんな時は“寄り添いと共感”を大切に、いろんな話を聞いてあげてほしいです。

「何かあったらいつでも聞くから教えてね」と事前に伝えておくと、安心かつ気軽に声をかけてもらいやすいかなと思います。

素直な気持ちを伝える

3つ目は、素直な気持ちを伝えることです。

うつ病患者さんは「家族や友人は自分のことをどう思っているのだろう?」ということを、ものすごく気にしています。

「病気の私でも受け入れてくれるかな?嫌われていないかな?」と不安になってしまうのです。

だからこそ、患者さんに対して思っていること、伝えたいことなどがあれば、素直に伝えてあげてほしいです。

その気持ちは患者さんにとって何よりも大きなエネルギーとなり、症状の回復にもつながっていくと思います。

体調に応じたサポートをする

4つ目は、患者さんの体調に応じたサポートをすることです。

うつ病を患うと、今まで当たり前にできていたことができなくなってしまいます。

そんな時、家族によるサポートは、生活面でも精神面でも大きな支えになります。

患者さんと同居していたり、近くに住んでいたりする場合は、できる範囲で日常生活のサポートをしてあげてほしいです。

「どんなサポートをしていいかわからない」という方は、次項の内容を参考にしていただければと思います。

迷った時は「May I help you?」

5つ目は「May I help you?」の心構えを持つことです。

「May I help you?」は日本語で「何かお手伝いできることはありますか?」という意味です。

この心構えこそ、うつ病患者さんに対して一番必要なものであると考えます。

私が調子を崩した時、母は必ず「私に手伝えることがあれば何でも言ってね」と声をかけてくれます。

今の私が幸せな毎日を過ごせているのは、上記のような母からの言葉やサポートがあるからだと思っています。

もしもうつ病患者さんへの対応を迷うことがあったら、ぜひ「May I help you?」の心構えを意識してみてください。

自身の体調・予定を優先する

6つ目は、ご自身の体調や予定を優先しながらサポートをおこなうことです。

私の両親はさまざまなサポートをおこなってくれますが、何かしらの事情でサポートが難しい時は、無理せずきちんと断ってくれます。

そのうえで「こういう方法なら力になれそう」「明日ならできるよ」という感じで、代替え案を提示してくれます。

うつ病患者さんへのサポートはとても大切です。しかし、そこに注力しすぎてご自身の心と体を犠牲にしてしまうのは、あまり良いことではありません。

患者さんのほうも「自分のせいで家族が無理をしているのでは?」という気持ちによって、自己否定感が強まってしまう可能性もあります。

自身の予定や体調を優先しながら、無理のないサポートを心掛けていただきたいです。

相手の存在を肯定する

7つ目は、相手の存在を肯定することです。

  • 私なんかが生きていていいのだろうか?
  • 家族や職場(学校など)に迷惑をかけている私は最低な人間だ

うつ病を患うと、上記のような思いから自分を責めたり、生きる意味を見失ったりしてしまうことも少なくありません。

そんな時、家族が自分の存在を認めてくれ、その気持ちを素直に伝えてくれたことは、当時の私にとって一番の救いとなりました。

もし身近にうつ病患者さんがいる場合は、ぜひその方の存在を認め「あなたは私にとって大切な人だよ」ということを伝えてあげてください。

あれこれ深く考えず、ありのままの気持ちをシンプルに伝えてほしいなと思います。

まとめ

本記事では、うつ病当事者の私が家族からの対応で嬉しかったこと、それを踏まえたおすすめの対応方法についてまとめてみました。

症状が重かった時、周囲に対して一番に求めていたことは「ただただ辛い気持ちに寄り添って、話を聞いて、自分の存在を肯定してくれること」でした。

もし身近にうつ病で苦しんでいる方がいる場合、ただ話を聞いてあげてください。

そして、その方の想いや生き方を肯定し、痛みに寄り添ってあげてください。

きっとそれが、うつ病患者さんにとって一番の救いになるはずです。

ABOUT ME
ゆき
ゆき
生きづらさマイスター
1996年生まれ。佛教大学大学院・社会学専攻社会学研究科(修士課程)修了。自身のさまざまな生きづらさ体験をもとに、ブログやSNSの発信活動や講演活動などをおこなっています。
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