子宮内膜症で腹腔鏡手術!費用や入院期間、手術後の過ごし方など、体験談をもとに紹介します

「子宮内膜症の手術ってどんな感じだろう?」
「もし手術することになったら、どのくらいの入院が必要?」
婦人科系疾患のひとつである子宮内膜症。命にかかわる病気ではありませんが、病状が悪化すると手術が必要となるケースも少なくありません。
この記事では、内膜症の治療で手術をおこなう場合の費用や入院期間、手術方法について体験談をもとにまとめました。
入院中の過ごし方や術後の症状、退院後の回復過程や気をつけるべきことなども合わせて紹介しています。
医療機関の情報からは得ることができない、経験者だからこそ伝えられる情報をぎゅっと詰め込みました。
内膜症患者さんでこれから手術入院を経験される方は、ぜひ参考にしてください。

子宮内膜症の手術入院
この章では、子宮内膜症で手術入院をする場合のさまざまな疑問点やについて、体験談をもとに解説しています。
これを読めば、手術入院に関するさまざまな疑問・不安が解消される
手術をすることになった経緯
私が手術をすることになった理由は、「チョコレート嚢胞」が大きくなりすぎてしまったからです。
チョコレート嚢胞は、最もメジャーな子宮内膜症の一種です。私は右卵巣にチョコレート嚢胞があったため、右下腹部の痛みが頻繁にありました。
ある日、その痛みが限界に達したので医師の診察を受けたところ、チョコレート嚢胞が前回検診時の倍の大きさになっていたのです。
チョコレート嚢胞は大きさくなると破裂したり、卵巣がんになったりする恐れがあるため、おそよ6cmを超えると手術が必要になると言われています。
私の場合はこの時点で8cmまで大きくなっていたので、医師からは「すぐに手術をすべき」だと言われました。
それで家族とも相談し、たまたま医師のスケジュールに空きがあった10日後に手術をすることになりました。

手術方法・所要時間
私がおこなったのは「腹腔鏡手術」という術式でした。
腹腔鏡手術は、お腹に数か所の小さな穴をあけ、モニターでお腹の様子を確認しながらおこなう手術方法です。
私はおへそを含め、4か所の穴をあけました。
症状の重さによってはお腹を大きく切開する「開腹手術」になる場合もあるようですが、近年は腹腔鏡手術が主流とのことです。
腹腔鏡手術の所要時間は、およそ3時間でした。
13時に手術室に入り、16時前には病室に戻ってくることができたので、意外と早かったと感じたのを覚えています。

入院期間・費用
私の入院期間について、以下の表にまとめました。
- 1日目:午後3時に入院
- 2日目:午後1時から手術
- 3日目:療養
- 4日目:療養
- 5日目:午後3時に退院
合計5日間の入院で、手術から3日後に退院という流れでした。
入院費用については、医院や手術方法によってピンキリだと思いますが、私の場合は個人医院での手術入院で約20万円でした。
ちなみにこの費用は、2020年4月時点のもの(3割負担)です。あくまでもひとつの目安として考えていただければ幸いです。

手術の感想
「手術ってどんな感じだった?」と人に聞かれた時、いつも答えるのは「知らん間に終わってたわ」ということです。
私はこの時が人生初の手術だったので、手術前はとにかく不安と恐怖でいっぱいでした。
しかし当然ながら、麻酔をしたらすぐに眠くなりますし、手術の間は意識もありません。
そのため、手術室に入って麻酔をした後の記憶は全くなく、「気が付いたら病室に戻っていてすべてが終わっていた……」という感じでした。
始まるまではいろんなことを考えて不安になったり、緊張したりすると思います。
けれど、実際は痛くも痒くもないですし、お医者さんを信頼してリラックスしていれば大丈夫です。
「手術が終われば新しい自分になれる……!」という前向きな心で挑みましょう!

手術後の痛み
手術中の意識はないとは言えど、麻酔が切れて目が覚めると、やはりお腹の痛みはそれなりに感じます。
しかし、手術直後は痛みよりも眠気が圧倒的に勝っていたので、私はあまり気にならなかったです。
一番痛みが辛かったのは、手術を終えた日の夜中から翌朝です。
服を着替えたり、ちょっと体を起こしたりするだけで激痛が走ってとても辛かったです。
私の場合は痛みが影響して尿がなかなか出なかったので、その面でも苦労しました。
しかし、手術から2日が経つと、痛みもだんだん落ち着いてきて少しずつ行動範囲が広がりました。
痛みがあるのは辛いですが、いつまでも続くわけではないですし、無理をすれば痛みがひどくなる恐れもあります。焦らずゆっくり療養してくださいね。

入院中にしんどかったこと
入院中に一番しんどかったのは、ダントツで「麻酔の影響による吐き気」です。
お腹の痛みについては、体を安静に保ってさえいれば、ある程度和らげることができました。
しかし、吐き気は安静にしていても全く治まらず、ただひたすら胃のムカムカに耐えるしかなかったので本当に辛かったです。
手術当日はそこまでではなかったのですが、翌日はあまりにも気分が悪すぎて食事をほとんど食べられず、お見舞いに来た母とも全く話せませんでした。
正直、手術そのものよりも、吐き気の方が何倍もしんどかったです。
普段から吐き気を催しやすい方やお腹が弱くなりやすい方は、少し注意が必要かもしれません。

入院中の過ごし方
手術直後から翌日は、痛みと吐き気でほとんどベッドから動けなかったのですが、それ以外の時間は以下のことをして過ごしていました。
- 本を読む
- 音楽を聴く、軽めに踊る
- テレビを観る
- 友人や家族とLINEで連絡を取り合う
- スマホに撮りためた写真や動画を鑑賞する
- 大学院の授業に関する作業をする
- 日記やブログを書く
私ははじめての入院だったこともあり、テレビを観たり音楽を聴いたりしていてもどこか「うわの空」で、常に心がふわふわしていました。
そんな私の支えになったのが、窓際に飾っていたお気に入りのぬいぐるみマスコットと、花瓶に生けたカーネーションでした。
目にするだけで自然と気分が上がるもの、心が穏やかになるものは、殺風景な病室をほんのちょっとだけ明るくしてくれました。
たと短期間であれ、入院生活はどうしてもメンタルがしんどくなるものです。
上記の事柄を参考に、なるべく多くの種類のアイテムを持って行って、心の安定を保てる環境を整えることをおすすめします。

事前にしておけば良かったこと
「手術入院の前にしておけば良かったこと」は、不安や恐怖などのネガティブな感情を吐き出すことです。
私はもともと感情を溜め込みやすい性格なので、入院前に弱音を吐いたり、ネガティブになったりすることは一切ありませんでした。
むしろ「私は大丈夫!」と無理やりポジティブになって、ネガティブな感情を全部押し殺していたのです。
しかし、どこにも放出せずに心に溜め込んだ感情は、入院して一人で病室に入った瞬間にどっと爆発。
あまりの苦しさと恐怖で、過呼吸を起こしてしまいました。
手術入院に限った話ではないですが、心のモヤモヤやネガティブな感情を溜め込んでも良いことはありません。
友人や家族に話したり、紙に書いたりして、恐怖や不安をしっかりと表に出してから病院へ行くことをおすすめします。

退院後
この章では、内膜症の治療で手術入院をした場合の退院後の過ごし方についてまとめました。
どんな過程を経て身体が回復し、日常生活に戻っていくのかをリアルに綴っています!
痛みの回復過程
退院から数日は、それなりに大きな痛みがありました。
私が一番しんどかったのは、お手洗いや食事のためにベッドから起き上がるタイミングです。
病室のベッドは高さや背もたれの調節ができたので体への負担を軽減できましたが、当然ながら、自宅のベッドにはそんな機能はありません。
そのため、入院時よりも痛みを感じやすく、上手な体の使い方を習得するまではとても痛かったです。
しかし、それもほんの数日の話で、1週間後にはかなり痛みが治まりました。
日を重ねるごとに行動範囲が広がったり、家族の力を借りずに自分一人でできることが増えたりして、成長を感じられて嬉しかったです。
大人になってから自身の成長を実感できる機会はあまりないので、少しだけ自己肯定感が上がりました。

お風呂はいつから?
退院する時、医師からは「退院してから1週間は湯船につかることは避け、シャワーのみにしてください」という案内がありました。
私は毎日湯船につかる人間なので、正直「シャワーだけはちょっと物足りないなあ」と思っていました。
しかし実際は、痛みや体力の低下が影響して「体を綺麗にしよう」という気持ちになれず、退院から5日間はシャワーすらできなかったです。
体を綺麗にすることよりも、自身の体を労わって大切にすることの方が何倍も大切です。
お風呂やシャワーは。医師の忠告に従ったうえで、ご自身のタイミングでおこなうのが一番だと思います。

仕事や学校へ復帰するタイミング
手術入院を経験される方が一番気になるのは「学校や仕事にはいつ頃復帰すればいいのか」ということだと思います。
当時の私は大学院生だったのですが、コロナ禍の影響ですべてオンライン授業になったので、いわゆる“通学復帰”を考える必要がありませんでした。
自分のペースでゆっくりと回復できたのは、ある意味で不幸中の幸いでした。
しかし、もし通常通りに大学へ通う必要があったのならば、少なくとも退院から3週間は自宅療養に専念していたと思います。
いつものペースで歩いたり、日常生活をスムーズに送れるようになったりしたタイミングが、ちょうど退院から1か月後くらいだったからです。

仕事や学校に復帰するタイミングは、学校や職場までの距離、移動手段、活動内容や作業内容によってかなり違ってくると思います。
術後の痛みや体力の回復具合によっても異なりますし、「早く復帰したら偉い」「復帰が遅いのはダメ」ということもありません。
ご自身の体を大切に、無理のないタイミングで復帰するのが一番かなと思います。

手術の傷跡
私は腹腔鏡手術をおこない、お腹に4か所の穴があきました。
左側に1か所、右側に2か所、そしてヘソの部分です。それぞれ1cm弱の傷でした。
術後直後はやはり、傷跡が目に見えてわかりました。
しかし、徐々に目立たなくなっていき、退院から半年くらいに経つ頃にはほとんど見えなくなりました。
術後5年が経った今では、どこに傷があったのか全くわからない状態になっています。

術後の変化・治療
現在は手術から5年が経ちましたが、おかげさまで、再発なく元気に過ごせています。
内膜症の大きな症状である「生理痛」がゼロになったわけではありませんが、生理時の腹痛は、手術前と比べてかなり楽になりました。
痛みが強くて寝込んだり、鎮痛剤が効かなかったりしてしんどい思いをすることがなくなったのは、私にとってとても大きな変化でした。

手術から3か月後には、治療の一環として低用量ピルを服用するようになりました。
低用量ピルは生理痛やPMS、子宮内膜症の治療に効果があると言われているお薬です。
1日1錠を決まった時間に飲むことで排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を防いでくれます。
ピルは吐き気の症状が出やすいと言われていて、私も飲み始めて数日間は、軽めの吐き気がありました。
しかし、すぐに問題なく飲めるようになり、約5年間同じものを服用しています。

気をつけるべきこと
手術入院を控えている方にお伝えしたいことは「退院直後はできるだけ無理をせず過ごしてほしい」ということです。
退院翌日、私は朝から入院時の荷物整理に励んでいました。
その時はすごく元気だったのですが、夕方になってから突然38度の高熱が……。
慌てて医院に電話をかけると、医師は冷静にこう言ってくれました。

無理して動くと、高熱が出ることが多いです。数日間はできるだけゆっくりしてください。
その後、解熱剤を飲んで寝たらすぐに治りましたが、とてもびっくりしました。
これから手術入院を経験される方は、どうか退院直後は無理をせず、できるだけ安静に過ごしてほしいです。
退院直後の体力や免疫力の低さを舐めていたら、痛い目に遭います……。

まとめ
本記事では、子宮内膜症での手術入院や退院後の過ごし方について、体験談をもとにまとめてみました。
入院期間中や退院から数日は、辛いことやしんどいことがたくさんありました。
しかし今振り返ると、健康のありがたみや、“当たり前”の大切さをたくさん感じられた経験だったなと思います。
これから手術入院を経験される方も、必ずその体験が人生の糧になる日が来るはずです。
あなたの手術が無事に終わり、軽やかな日々を過ごせますように。応援しています!
