子宮内膜症で腹腔鏡手術!費用や入院期間、手術後の過ごし方など、体験談をもとに紹介します

「子宮内膜症の手術ってどんな感じだろう?」
「もし手術することになったら、どのくらいの入院が必要?」
婦人科系疾患のひとつである子宮内膜症。命にかかわる病気ではありませんが、病状が悪化すると手術が必要となるケースも少なくありません。
この記事では、内膜症の治療で手術をおこなう場合の費用や入院期間、手術方法について自身の体験談をもとにまとめました。
入院中の過ごし方や術後の症状、退院後の回復過程や気をつけるべきことなども合わせて紹介しています。
医療機関の情報からは得ることができない、経験者だからこそ伝えられる情報をぎゅっと詰め込みました。
内膜症患者さんでこれから手術入院を経験される方は、ぜひ参考にしてください。

子宮内膜症の手術
この章では、子宮内膜症で手術をする場合のさまざまな基本情報について、体験談をもとに解説しています。
これを読めば、手術に関する疑問や不安が解消されるかも……!?
手術をすることになった経緯
私が手術をすることになった理由は「チョコレート嚢胞が大きくなりすぎてしまったから」です。
チョコレート嚢胞は、卵巣に古い血液が溜まることによって発生する腫瘍です。
私は右卵巣にチョコレート嚢胞があり、それが痛み(病気)の原因となっていました。
ある日、右下腹部の痛みがひどくなって医師の診察を受けたところ、チョコレート嚢胞が8cmの大きさになっていました。
前回の定期検診では4㎝ほどだったのに、わずか2か月ほどで倍の大きさになってしまったのです……!

普通は徐々に大きくなるのが一般的ですが、ごく稀に、私のように突然大きくなる患者さんがいるのだと担当医が言っていました。
チョコレート嚢胞は大きくなると破裂したり、卵巣がんになったりする恐れがあるため、おそよ6cmを超えると手術が必要になると言われています。
そのため、医師からは「すぐにでも手術をすべき」だと言われました。
そして家族とも相談し、たまたま医師のスケジュールに空きがあった10日後に手術をすることになりました。
日常生活への影響は?
手術入院が決まった当時(2020年4月初旬)、私は入学ほやほやの大学院生でした。
2020年の春と言えば、ちょうどコロナウイルスが日本に上陸し、全国に「緊急事態宣言」が出されていた頃です。
その影響で、院の授業がすべてオンライン実施になったため、手術入院によって日常生活(学校生活)に影響が出ることは全くありませんでした。

せっかくの体験談ブログなのに、何の参考にもならなくて申し訳ないです……。
しかし、こうして大きな支障なく手術入院を終えられたことは、今思えば“不幸中の幸い”だったのかも?と思っています。
手術方法・所要時間
私がおこなったのは「腹腔鏡手術」という術式でした。
腹腔鏡手術は、お腹に数か所の小さな穴をあけ、モニターでお腹の様子を確認しながらおこなう手術方法です。
私はおへそを含め、4か所の穴をあけました。
症状の重さによってはお腹を大きく切開する「開腹手術」になる場合もあるようですが、近年は腹腔鏡手術が主流だそうです。
腹腔鏡手術の所要時間は、およそ3時間でした。
13時に手術室に入り、16時前には病室に戻ってくることができたので、意外と早く感じたのを覚えています。

ちなみに、手術は全身麻酔でおこないました。
手術後の痛み
手術中の意識はありませんが、麻酔が切れて目が覚めると、お腹の痛みはそれなりに強く感じました。
しかし、手術直後は痛みよりも「眠気」が圧倒的に勝っていたので、私はあまり気にならなかったです。
一番痛みが辛かったのは、手術を終えた日の夜中から翌朝です。
服を着替えたり、ちょっと体を起こしたりするだけで激痛が走ってすごく辛かったです。
私の場合は痛みが影響して尿がなかなか出なかったので、その面でも苦労しました。
しかし、手術から2日が経つと、痛みもだんだん落ち着いてきて少しずつ行動範囲が広がってきて嬉しかったです。

痛みがあるのは辛いですが、いつまでも続くわけではないので、焦らずゆっくり療養してくださいね。
手術の感想
「手術ってどんな感じだった?」と人に聞かれた時、いつも答えるのは「知らない間に終わってた……」ということです。
私はこの時が人生初の手術だったので、手術前は不安と恐怖でいっぱいでした。
しかし当然ながら、麻酔をしたらすぐに眠くなりますし、手術の間は意識もありません。
そのため、手術室に入って麻酔をした後の記憶は全くなく「気が付いたら病室に戻っていて、すべてが終わっていた……」という感じでした。
始まるまではいろんなことを考えて不安になったり、緊張したりすると思います。
けれど、実際は痛くも痒くもないですし、お医者さんを信頼してリラックスしていれば大丈夫です。

「手術が終われば新しい自分になれる……!」という前向きな心で、入院生活を乗り切りましょう!
子宮内膜症の入院
この章では、内膜症の治療で入院を経験する際に知っておくべきことをまとめました。
多くの方が気になるであろう入院費用や、入院中の過ごし方など、赤裸々に綴っています!
入院期間・費用
私の入院期間について、以下の表にまとめました。
- 1日目:午後3時に入院
- 2日目:午後1時から手術
- 3日目:療養
- 4日目:療養
- 5日目:午後3時に退院
合計5日間の入院で、手術から3日後に退院という流れでした。
私がお世話になった医院は「血液検査などに問題がなければ、手術から3日後~4日後に退院」という流れが主流のようでした。
入院費用については、医院や手術方法によってピンキリだと思いますが、私の場合は個人医院での手術入院で約20万円でした。
ちなみに、部屋は個室でテレビは見放題という、ありがたい環境でした(笑)

ちなみにこの費用は、2020年4月時点のもの(3割負担)です。あくまでもひとつの目安としてお考えください。
入院中に一番しんどかったこと
入院中に一番しんどかったことは「麻酔の影響による吐き気」です。
お腹の痛みについては、体を安静に保ってさえいれば、ある程度和らげることができました。
しかし吐き気は、いくら安静にしていても全く治まらず、ただひたすら耐えるしかなかったので本当に辛かったです。
最も吐き気が重かった手術の翌日はほとんど食事を摂れず、お見舞いに来た母とも全く話せませんでした。
あくまでも私の感想ですが、手術そのものよりも、吐き気の方が何倍もしんどかったです……。

普段から吐き気を催しやすい方やお腹が弱くなりやすい方は、少し注意しながら療養されることをおすすめします。
入院中の過ごし方
吐き気と痛みで動けなかった時以外は、以下のことをして過ごしていました。
- 本を読む
- 音楽を聴く
- 軽めに身体(肩より上のみ)を動かす
- テレビを観る
- 友人や家族とLINEで連絡を取り合う
- スマホに撮り溜めた写真や動画を鑑賞する
- 日記やブログを書く
基本的には、普段から自宅でやっていることとほぼ同じことをしていました。
ただし、あくまでも私の場合ですが、いつもと同じ作業は脳への刺激が少なく、不安や恐怖がより強くなっていた気がします。
今思えば、いつもと少し違うことをして、脳に刺激を与えた方がメンタル的に良かったかもしれません。

これから手術入院を経験される方は、入院前に、自分のメンタルが穏やかでいられる過ごし方を考えておくことをおすすめします。
不安な私を支えてくれたもの
はじめての手術入院で不安が強かった私は、テレビを観たり音楽を聴いたりしていてもどこか「うわの空」で、常に心がふわふわしていました。
そんな私の支えになったのが、お気に入りのぬいぐるみマスコットと、花瓶に生けた生花でした。
目にするだけで自然と気分が上がるもの、心が穏やかになるものは、殺風景な病室をほんのちょっとだけ明るくしてくれました。
たとえほんの数日であっても、入院生活はどうしてもメンタルがしんどくなるものです。
思いつく限りの「お気に入りアイテム」を持って行って、心の安定を保てる環境を整えることをおすすめします。

食事を持ってきてくれたスタッフさんが「綺麗でかわいい部屋ね!不安も少し和らぐわね」と言ってくださったのが印象的でした。
事前にしておけば良かったこと
入院の前にしておけば良かったことは、不安や恐怖などのネガティブな感情を吐き出すことです。
私はもともと感情を溜め込みやすい性格なので、入院前にネガティブな感情を吐き出すことはありませんでした。
本当は手術が怖くて嫌で仕方がなかったのに、その恐怖や不安をすべて抑圧していたのです。
しかし、どこにも放出せずに溜め込んだ感情は、入院して病室に入った瞬間に一気に爆発。
あまりの苦しさと恐怖で、過呼吸を起こしてしまいました。
手術入院に限った話ではないですが、心のモヤモヤを溜め込んでも良いことはありません。
友人や家族に話したり、紙に書いたりして、恐怖や不安をしっかりと表に出してから病院へ行くことをおすすめします。

「私は大丈夫!」という言葉を繰り返し、無理やりポジティブを演じていたのも良くなかったと思います……。
退院後の過ごし方
この章では、内膜症の治療で手術入院をした場合の退院後の過ごし方についてまとめました。
身体が回復し、日常生活に戻っていく過程がリアルにわかります……!
痛みの回復過程
退院から数日は、傷の痛みがかなり顕著にありました。
特にしんどかったのは、お手洗いや食事のためにベッドから起き上がるタイミングです。
病室のベッドは高さや背もたれの調節ができたのでラクでしたが、当然ながら、自宅のベッドにはそんな機能はありません。
そのため、入院時よりも痛みを感じやすく、“上手な体の使い方”を習得するまではとても痛かったです。
しかし、それもほんの数日の話で、1週間後にはかなり痛みが治まりました。
日を重ねるごとに行動範囲が広がったり、できることが増えたりして、成長を感じられて嬉しかったです。

大人になってから“自身の成長”を実感できる機会はあまりなかったので、少しだけ自己肯定感が上がった気がします!
お風呂はいつから?
退院する時、医師から以下のような案内がありました。

退院してから1週間は、湯船につかることは避け、シャワーのみにしてくださいね。
私は毎日湯船につかりたい人間なので、正直「シャワーだけはちょっと物足りないなあ」と思っていました。
しかし実際は、痛みや体力の低下で「体を綺麗にしよう」という気持ちになれず、退院から5日間はシャワーすらできなかったです。
体を綺麗にすることよりも、自身の体を労わって大切にすることの方が何倍も大切だと思います。
お風呂やシャワーは医師の忠告に従ったうえで、ご自身のタイミングでおこなうのが一番だと思います。
仕事・学校への復帰
手術入院を経験される方が一番気になるのは「仕事や学校にはいつ頃復帰すればいいのか」ということだと思います。
当時大学院生だった私は、コロナの影響ですべてオンライン授業になったので、いわゆる“通学復帰”を考える必要がありませんでした。
しかし、もし通常通りに大学へ通う必要があったのならば、少なくとも退院から3週間は自宅療養に専念していたと思います。
いつものペースで歩いたり、日常生活をスムーズに送れるようになったりしたタイミングが、ちょうど退院から1か月後くらいだったからです。
仕事や学校の復帰時期は、学校や職場までの距離、移動手段、活動内容や作業内容によってかなり違ってくると思います。
術後の痛みや体力の回復具合も人それぞれなので、ご自身の体を大切に、無理のないタイミングで復帰するのが一番だと思います。

「早く復帰したら偉い」「復帰が遅いのはダメ」というわけではないので、どうか焦らずに!
手術の傷跡
私は腹腔鏡手術をおこない、お腹に4か所の穴をあけました。
左側に1か所、右側に2か所、そしてヘソの部分です。それぞれ1cm弱ほど傷ができました。
術後直後はやはり、傷跡が目に見えてわかって少しショックでした。
ですが、徐々に目立たなくなっていき、退院から半年くらいに経つ頃にはほとんど見えなくなりました。
術後5年が経った今では、どこに傷があったのか全くわからない状態になっています。

改めて、人間の回復力はすごいです……!
術後の病状・生理痛の変化
現在(2025年)は手術から5年が経ち、おかげさまで、再発なく元気に過ごせています。
ただ、内膜症の最も大きな症状である「生理痛」は現在もそれなりにあり、手術を機にゼロになったわけではありません。
しかし、痛みの程度はかなり楽になりましたし、鎮痛薬を飲む頻度も減りました。
手術前は、痛みが強くて寝込んだり、鎮痛剤が効かなかったりすることも多かったので、これはすごく嬉しい変化でした。

術後の症状が安定しても、再発を防ぐために定期検診は欠かさずに行きましょう!私も、年に一度行っています。
術後の治療(低用量ピルの服用)
手術から3か月後には、治療の一環として低用量ピルを服用するようになりました。
- 生理痛やPMS、子宮内膜症の治療に効果があると言われているお薬です。
- 1日1錠を決まった時間に飲むことで排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を防ぐ効果が期待できます。
ピルは副作用として「吐き気」が出やすいと言われていて、私も飲み始めて数日間は、軽めの吐き気がありました。
しかし、すぐに問題なく飲めるようになり、約5年間同じものを服用しています。

もしも吐き気などの副作用が長引いて飲みづらい場合は、速やかに医師や薬剤師に相談してください。
気をつけるべきこと
手術入院を控えている方にお伝えしたいことは「退院直後はできるだけ無理せず過ごしてほしい」ということです。
無理をして頑張って動きすぎてしまうと、高熱に苦しめられる可能性があるためです。
退院翌日、医院に持って行っていた荷物を整理したくて、かなり無理して動きました。
すると、夕方になってから急に体がしんどくなっていき、38度の高熱を出してしまいました。
慌てて医院に電話をかけると、医師は冷静にこう言ってくれました。

無理して動くと、高熱が出ることが多いです。数日間はできるだけゆっくりしてください。
その後、解熱剤を飲んで寝たらすぐに治りましたが、とてもびっくりしました。
これから手術入院を経験される方は、どうか退院直後は無理をせず、できるだけ安静に過ごしてほしいです。
退院直後の体力や免疫力の低さを舐めていたら、痛い目に遭います……。
まとめ
本記事では、子宮内膜症での手術入院や退院後の過ごし方について、体験談をもとにまとめてみました。
入院期間中や退院から数日は、辛いことやしんどいことがたくさんありました。
しかし今振り返ると、健康のありがたみや、“当たり前”の大切さをたくさん感じられた経験だったと感じます。
これから手術入院を経験される方も、必ずその経験が「人生の糧」になる日が来るはずです。
あなたの手術が無事に終わり、軽やかで穏やかな日々を過ごせますように。応援しています!