パニック障害との向き合い方:電車内でのパニック発作を軽減する7つの対処法

「パニック発作が怖くて、電車に乗るのが怖くなってしまった……」
そんなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
私も10代の頃からパニック障害を患っており、電車を利用するのが大の苦手です。
発作に対する不安があまりにも強すぎて、家から出られなくなってしまった経験もあります。
そこで本記事では、パニック障害と10年以上向き合い続けている私が、パニック障害の症状や原因などについてまとめてみました。
記事の後半では、私が電車を利用する時におこなっている対処法や工夫も紹介しています。
この記事を読んで、パニック発作の知識を深めながら、上手な対処法を見つけてみてくださいね。
パニック発作の基本情報
パニック発作と上手に付き合っていくためには、パニック発作についての正しい理解が必要不可欠です。
この章では、パニック発作の症状や原因などの基本情報を紹介します。
パニック発作とは
パニック発作とは、強い不安や恐怖を伴う発作です。
突然、何のきっかけもなく不安や恐怖が大きくなり、動悸やめまい、非現実感など、さまざまな症状があらわれます。
パニック発作に悩んでいる方は、私のように、うつ病やHSPなどのさまざまな“生きづらさ”を抱えているケースが非常に多いです。
それゆえ、その症状や生きづらさがトラウマとなり、外出ができなくなったり、日常生活が送れなくなったりしてしまう人も少なくありません。
私も長らくパニック発作とともに人生を歩んでいますが、やはり、外出はかなりのストレスがかかりますし、日常生活に支障をきたすことも多々ありますね。
発作が起きると「このまま死んでしまうのではないか」「このまま一生治らないのではないか」という気持ちが頭の中を支配します。
私も、発作が起きるといつも「このまま治らなかったらどうしよう」と不安になり、その不安がさらに発作を加速させてしまいます。
けれど、パニック発作はおよそ10分以内に頂点に達し、その後30分もすれば自然に治まることがほとんどです。
もちろん、発作が直接的な原因となって命を落とすこともありません。
「発作が起きてもすぐに治まるし、命に関わることはない」と肝に銘じておくだけでも、恐怖や不安を抑えることができますよ。
予期不安と広場恐怖
パニック発作は、「パニック障害」※①という精神疾患の中心となる症状です。
では、パニック障害はほかにどんな症状があるのかと言うと、「予期不安」と「広場恐怖」です。
予期不安は、パニック発作を繰り返すことで、「また発作が起きたらどうしよう」という不安や恐怖が頭から離れなくなる状態です。
発作が起きることそれ自体への不安・恐怖と、発作によって起こる別の事柄に対する不安・恐怖※②が合わさり、日常生活に支障をきたしてしまうのです。
私は10代の頃から予期不安が強く、全く外出できない時期が長くありました。
現在はひきこもりから脱出したものの、予期不安は強いままで、外出時はほぼ毎回、予期不安と闘っています。
特に私の場合は、自宅から離れた場所に出かけなければいけない時ほど、予期不安が強くなります。
自宅から距離があると、そのぶん恐怖や不安と闘う時間が増えるので、しんどくなってしまうのです。
広場恐怖は、予期不安を強く感じてしまうために、特定の場所や状況を避けようとする状態です。
過去にパニック発作を起こした場所はもちろん、電車やエレベーター、人混みなど、「すぐに助けを求められそうにない場所や状況」を避けてしまうケースが多いです。
私は10代の頃から広場恐怖の気質を持っていましたが、25歳でうつ病を患ってからは、よりその気質が強まってしまいました。
その影響で、映画館やコンサートホール、行列待ちなどがかなり苦手に……。
パニック発作に悩んでいる方のほとんどは、予期不安や広場恐怖の気質を持っていると考えられます。
不安や恐怖が強すぎたり、特定の場所で実際に発作が起きてしまったりすると、私のように外出が困難となるケースも少なくありません。
パニック症状を完全に乗り越えることは難しいかもしれませんが、症状と上手に付き合いながら生きていく方法を見つけられれば、今よりも穏やかな生活を送れるのではないかと思います。
※①:突然に不安感や恐怖感が強まり、呼吸困難や吐き気などの症状が引き起こされる障害。精神的な不安が強まって日常生活に支障をきたす「不安障害」のひとつ。
※②:「他人に迷惑をかけたり、事故につながったりするかもしれない」「誰も助けてくれなかったらどうしよう」など。
症状
パニック発作の一般的な症状を、以下にまとめてみました。
- 胸の痛みまたは不快感
- 窒息感
- めまい、ふらつき、または気が遠くなる
- 死への恐怖
- 正気を失うことや自制を失うことへの恐怖
- 非現実感、違和感、または外界との遊離感
- ほてりまたは悪寒
- 吐き気、腹痛、または下痢
- しびれまたはピリピリ感
- 動悸または頻脈
- 息切れまたは呼吸困難
- 発汗
- 振戦またはふるえ
引用:MSD家庭版マニュアル
上記の症状のうち4つ以上が同時に起こると、「パニック発作」と診断されることが多いようです。
私の場合は「窒息感」「めまい」「非現実感」「吐き気」「動悸」「発汗」の症状がよくあらわれます。
あと、引用元にはありませんが、「過呼吸」を引き起こすこともけっこうありますね。
不安が強くなればなるほど、なんとなく息苦しくなって、呼吸がまともにできなくなります……。
原因
パニック発作の原因として考えられているものは、以下の3つです。
- 両親や兄弟からの遺伝
- 精神的ストレス・疲労
- 脳内の伝達物質の異常
自身の経験を交えながら、ひとつずつ解説します。
家族や兄弟からの遺伝
1つ目の原因は、家族や兄弟からの遺伝です。
両親や兄弟にパニック障害の症状がある場合、パニック障害を引き起こす確率は、一般の人よりも5~8倍高くなると言われています。
私の場合、母親に少しだけパニック発作の気質が見られる※ので、遺伝要素も少なからず影響しているのではないかと考えています。
※:社会人時代に、仕事のストレスで電車に乗れない(途中下車してしまう)ことがあったようです。現在も、電車を使った遠方への旅行やお出かけは「不安が強い」と話しています。
精神的ストレス・疲労
2つ目の原因は、精神的なストレスや疲労です。
ストレスや疲労が大きくなると、発作が起きる可能性は高まります。
これは、専門的な知識がなくても、イメージとしてなんとなく理解できると思います。
私の場合も、発作が起きる時はだいたい、人間関係や仕事(学生時代は学業)のことで悩みが多い時ばかりです。
脳内の伝達物質
3つ目の原因は、脳内の伝達物質です。
精神的ストレスや疲労が蓄積されると、脳内伝達物質の働きに異常が起きやすくなります。
その異常がさまざまな症状を引き起こし、強い不安や恐怖を生んでいると考えられています。
どうしても電車に乗る必要がある時は、なるべく心身のコンディションを整えておきたいですね。
治療方法
パニック発作の一般的な治療方法としては、薬物療法と行動療法・認知療法があげられます。以下で詳しく説明します。
薬物療法
薬物療法では、発作の原因となっている脳内伝達物質のバランスを整えるお薬(抗うつ剤)を処方される場合が多いです。
抗うつ剤は、不安や焦りを減少させ、気持ちを落ち着かせる効果があります。
そのため、お薬をうまく利用することで、パニック発作の症状や不安感を抑えることができるのです。
行動療法・精神療法
行動療法や精神療法では、以下に代表される方法を用い、パニック発作が起きにくい体と心を形成していきます。
- リラクゼーション法:呼吸法などによって、体の力を緩める習慣をつける
- 認知行動療法:パニック発作に対する偏った認知や考えを改める
- 曝露療法:段階を踏みながら、今まで避けていた行動(電車の利用など)に挑戦する
このような行動療法や精神療法は、医師やカウンセラーの力を借りておこなうのが一番確実です。
しかし、外出が難しかったり、相性の良い専門家と出会えなかったりする場合は、自分でおこなうこともできます。
私は良い専門家と出会えなかったので、ネット情報や関連書籍を参考にしながら自分でおこないました。
記事の後半で紹介している対処法や工夫は、その時に自己流で編み出したものです。
“完治”とまではいきませんでしたが、行動療養や精神療法のおかげで、ある程度は症状を改善することができたかなと感じています。
発作が起こりやすい状況
パニック発作は、緊張したり、不安を感じたりしやすい場面や、逃げ場がないような状況で起こる確率が高いと言われています。
以下の表は、私が過去にパニック発作を起こした場所がある(起こしそうになったことがある)シチュエーションをまとめたものです。
- 電車、バス、タクシー乗車時
- 車が渋滞している時、信号待ちが長い時、高速道路走行時
- 長いトンネル、地下鉄のホーム
- デパートや観光地などの人混み(屋内)
- 映画館の中
- 学校の授業中
- 病院や飲食店の待ち時間
- 美容室(パーマがあたるのを待っている時)
一度発作が起きた場所や行動はトラウマになりやすく、極端に避けてしまうケースも少なくありません。
無理に克服する必要はないと思いますが、ある程度体調が整ってきたら、少しずつでも再挑戦して行動範囲を増やしていきたいですね。
効果があった対処法
この章では、パニック障害歴10年以上の私が、電車を利用する際に実践している対処法を7つ紹介します。
人によって合う・合わないはあると思いますが、少しでもご参考になれば幸いです。
アロマの匂いを嗅ぐ
1つ目は、アロマオイルの匂いを嗅ぐことです。
発作が起きそうな時にアロマの匂いを嗅ぐと、不思議と心がリラックスできて、緊張の波が落ち着きます。
私はいつも、お気に入りのハンカチにオイルを数滴垂らし、鞄の中に忍ばせています。
ハンカチのふわふわした手触りも「緊張の軽減」に一役買ってくれるので、おすすめです。
目を閉じてゆっくり呼吸する
2つ目は、目を閉じてゆっくりと呼吸をすることです。
電車内はとても人が多いので、目を閉じて、視覚からの刺激をゼロにするだけでもかなり落ち着きます。
その上で、ゆっくりと鼻から息を吸い、ゆっくりと口から吐くという深呼吸を繰り返すと、徐々に平常心を取り戻せます。
先ほど紹介したアロマオイルを利用すると、より楽に深呼吸をおこないやすいです。
深呼吸をしながら「大丈夫、大丈夫」と心の中で唱えると、よりストレスを軽減できる気がします。
タッピングをする
3つ目はタッピングをすることです。
タッピングとは、指先のはらを使って体や顔を優しく叩き、ストレスや不安を軽減させるリラクゼーション方法です。
私は過去に、新幹線移動で発作が起きそうな時にタッピングをおこない、なんとか乗り越えられた経験があります。
乗客が多くて人目が気になる時は、体をさすったり、撫でたりする“簡易タッピング”をおこなうことも多いです。
体の力を緩める
4つ目は、電車に乗る前に体の力を緩めておくことです。
背伸びをしたり、肩を上げ下げしたり、手のグーパー運動を繰り替えしてみたり……。
不安や緊張が強い時は、必ずと言っていいほど体に力が入っているので、できるだけ「脱力」を心がけています。
実際に体を動かさなくても「力を抜こう」「リラックスしよう」と意識するだけでも、体の軽さは全然違うと感じます。
体を温める
5つ目は、体を温めることです。
体を温めて血のめぐりを良くすると、手っ取り早く全身の力を緩めることができます。
私はいつも、お腹部分にカイロを貼って外出しています。
服の上からお腹に手を当てると、じんわりとした温かさが伝わってきて安心できます。
夏の暑い時期は、お腹や腕、胸などを手でさすって、少し温めてから外出することも多いです。
スマホで動画を視聴する
6つ目は、スマホで好きな動画を視聴し、緊張から意識を逸らすことです。
アロマやタッピングは「一時的な緊張を和らげる」という意味合いが強い気がします。
そのため、長時間移動の場合は、ある一定時間集中して楽しめるコンテンツがある方が安心かなと思います。
私はディズニーが好きなので、YouTubeでお気に入りのショーやパレードの動画を観ることが多いです。
「お守り」を持つ
7つ目は「お守り」を持つことです。
ここで言う「お守り」は神社のお守りではなく「持っているだけで気持ちが安心できる=心を守ってくれるもの」です。
小さなぬいぐるみやストラップ、推しアイドルの写真など、鞄につけられたり、気軽に持ち運べたりするサイズのものなら何でもオッケーです。
私はいつも、ディズニーキャラクターの「ベイマックス」のぬいぐるみストラップを鞄につけています。
ぬいぐるみが目に入るだけでなんとなく安心しますし、その存在にかなり助けられています。
発作を軽減する工夫
この章では、電車でのパニック発作を軽減するために、実際におこなっている工夫を6つ紹介します。
取り入れられそうなものがあれば、ぜひ参考にしてみてくださいね。
空いている車両を利用する
1つ目は、空いている車両を利用することです。
どの電車であっても、出発駅や終着駅の改札・階段に近い車両は混雑する傾向があるように思います。
そこを避けて乗車するだけでも、ストレスの軽減=発作リスクの軽減に繋がることが多いと実感しています。
私はいつも、改札や階段の距離は無視し、なるべく人が少ない車両を探して乗るようにしています。
混雑時を避けて利用する
2つ目は、可能な範囲で混雑する時間帯を避けて乗車するのもおすすめです。
当たり前の話ですが、平日の朝や夕方は、通勤・通学などで電車が大混雑します。
休日の場合も、朝10時を過ぎると徐々に混雑する傾向にあるように感じます。
そのため私は、できるだけ以下の時間帯に電車を利用するようにしています。
- 平日の11時から15時まで
- 休日の10時まで、もしくは20時以降
あくまでも私の経験に基づいた工夫ですが、ご参考になれば幸いです。
有料座席を利用する
3つ目は、有料座席を利用することです。
特急列車や新幹線など、一部の電車には「有料座席(指定席)」が用意されています。
有料座席はある程度のプライベート空間が確保できるので、通常の座席よりもストレスなく過ごすことができ、発作のリスクを軽減できます。
私はここ数年、遠方に出かける予定がある際は必ず有料座席を予約するようにしています。
もちろん、余計に費用はかかってしまうのですが、お金を払う価値は十分にあると思います。
途中下車して休憩する
4つ目は、移途中で電車を降りて休憩することです。
電車を降りて休憩すると、張り詰めた緊張感が一気に緩和され、緊張や不安が落ち着きます。
私も過去に、途中下車して休憩し、数本分の電車を見送ってから目的地に行ったことが何度かあります。
時間に余裕がある場合限定ですが、ひとつの方法として知っていただければ嬉しいです。
家族に付き添ってもらう
5つ目は、家族に付き添ってもらうことです。
少し遠い場所に行く時や、体調が思わしくない時は、父か母のどちらかに付き添いをお願いすることがあります。
「万が一の場合は知っている人が助けてくれる」という安心感は、パニックの軽減とストレスの緩和につながります。
もしもご家族がパニック発作に理解のある方ならば、付き添いをお願いしてみても良いかもしれません。
車やバイクで移動する
6つ目は、車やバイクを有効活用することです。
私はもともと運転好きのため、どうしても電車を利用しなければいけない状況じゃなければ、基本的には車で移動しています。
生きづらさは「乗り越えるもの」ではなく、上手に向き合って生かしていくものだと思います。
電車の克服も良いですが、ドライブライフやバイク旅を楽しむのも、立派な生き方のひとつではないでしょうか。
まとめ
本記事では、パニック障害当事者の私が電車を利用時ににおこなっている対処法や工夫を紹介しました。
パニック障害が影響してひきこもりになってしまったり、学校や仕事に行けなくなってしまうケースは少なくありません。
けれど、対処法や工夫次第では、たとえパニック障害があっても電車を利用できる場合もあります。
あなたのペースで、あなたに合った方法で、パニック障害と向き合ってみてください。
その向き合い作業は、いつかきっと、あなたを支える人生の糧になると思います。
