精神障害者保健福祉手帳のメリット・デメリット|3級所持者のリアルな体験談

うつ病やパニック障害、社交不安障害などの精神障害を抱える方が取得できる精神障害者保健福祉手帳。
手帳の存在は知っていても、どのように手帳を活用すべきなのかがわからず、取得申請を迷っている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、2022年から3級の手帳を所持している私が、実際に手帳を使って感じたメリット・デメリットを体験談をもとにまとめました。
記事の後半では、障害者手帳(3級)に対するリアルな感想も綴っています。
手帳の取得を考えている方はもちろん、すでに手帳を持っている方も、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
精神障害者手帳のメリット
この章では、障害者手帳所持歴3年の私が「手帳を持っていて良かった!」と感じたメリットを6つ紹介します。
︎公共施設などの料金が割引になる
手帳を持って一番「有難み」を感じるのは、さまざまな施設の利用料・入場料が割引になることです。
- テーマパーク
- 植物園
- 水族館
- 美術館
- 博物館
- お寺など
私は障害年金とわずかな副業収入で日々を過ごすのが精いっぱいなので、このような割引はとてもありがたいです。
割引額は施設によってさまざまですが、通常料金から半額になるところや、2割程度の減額になるところが多いです。
ほとんどの施設は同伴者(1名まで)も割引になるので「外出には付き添いが必須」という方でも安心して利用できますよ!

「障害者手帳で行こう!~全国版~」というサイト では、手帳割引が適用される施設が都道府県ごとに詳しく掲載されています。ぜひチェックしてみてください!
映画を特別料金で鑑賞できる
映画のチケットを特別料金で購入できるのも、手帳を持つメリットのひとつです。
映画のチケットは通常2,000円ほどの値段設定ですが、手帳を持っていると1,000円で鑑賞できます(映画館によって異なる場合あり)。
同伴可能な人数は、映画館によって若干の違いがあります。参考までに、私が住む京都府の映画館情報を一部記載しておきます。
- TOHOシネマズ二条:1名まで
- T・ジョイ京都:1名まで
- MOVIX京都:2名まで
- イオンシネマ京都桂川:2名まで
- イオンシネマ高野原:2名まで
- イオンシネマ久御山:2名まで
ただし、3D映画などは割引が適用されず、通常と同様の追加料金を支払う必要がありますのでご注意ください。
公共交通機関を特別価格で利用できる
手帳を持っていると、電車やバス、飛行機、タクシーなどの乗り物を特別料金で利用することができます。
「もし乗車時に体調が悪くなっても、手帳を見せれば対応してもらいやすい」という利点もあり、乗り物を利用する場合の安心材料にもつながります。
しかし、すべての乗り物に割引が適用されるわけではありません。
割引が適用されない会社もあるので、手帳を使って外出をする際は事前確認を忘れないようにしてくださいね。

2025年の4月から、JRグループや大手私鉄会社などが、精神障害者手帳所持者の割引制度をスタートさせました!
今後も、さまざまな乗り物で精神障害者へのサポートが広がっていくと良いですね。
所得税や住民税が軽減される
障害者手帳の所持者は「障害者控除」の対象となるため、所得税や住民税などのさまざまな税金の控除が適用されます。
ただ、控除の対象となる税金や控除額は等級によって異なるため、少し注意が必要です。
税金の仕組みはちょっと難しいですが、慣れると少しずつ理解ができるようになります。
障害者控除について詳しく知りたい方は、国税庁の「障害者と税のサイト」をご確認ください。

もし不安な方は、お近くの市役所や税務署に問い合わせてみるのが一番早いと思います。
私も最初は、市役所職員の方に教えていただきました!
︎スマホ料金が割引になる
ドコモ、au、ソフトバンクの各種スマートフォンを所持している場合、障害者手帳を所持している方向けの割引サービスを受けることができます。
サービスの内容は携帯会社によって異なりますが、毎月の基本使用料や各種サービス使用料が割引になることが多いようです。
参考までに、私が実際に利用しているauの「スマイルハート割引」の割引対象プランを紹介します。
- auバリューパックプランなどの基本料割引
- 通話料割引
- SMS送信料の割引
参考サイト:au「スマイルハート割引」
auは、ショップでの申し込みに加えて郵送での申し込みもできるので、外出が難しい場合も安心です。
「サービスを利用してみたい!」という方は、各携帯会社の公式サイトを確認してみてくださいね。

私は外出ついでにショップで手続きしましたが、5分ほどで手続きができました!
︎障害者雇用や就労支援事業所を利用しやすい
障害者雇用や就労支援事業所を利用したい場合は、手帳を持っていた方が圧倒的に有利です。
それは、手帳がないと応募できない求人や、利用できない事業所があるからです。
特に障害者雇用の求人は「障害者手帳を持っていること」という応募条件を設けている企業も少なくありません。
求職している方や、事業所の利用を検討している方は、手帳ひとつ持っておくだけで選択肢の幅が広がります。

私が過去に利用していた就労支援事業所も「精神障害者手帳の交付を受けている人」という利用条件が設けられていました。
精神障害者手帳のデメリット

︎人に見せる時に勇気がいる
1つ目のデメリットは「人に見せる時に勇気がいる」ということです。
手帳割引を利用する場合、施設受付の方やタクシーの運転手さんなどに手帳を見せなければいけません。
その時につい相手の顔色が気になってしまい、

変な目で見られたり、傷つく対応をされたりしたらどうしよう……
という不安から、恐る恐る手帳を出す癖が未だに抜けません。
今まで一度も傷ついた経験はなく、基本的にはスムーズに対応してくださるのですが、毎回少し勇気がいりますね。
障害者サービスの認知度の低さ
2つ目のデメリットは、精神障害者手帳を使ったサービスの認知度の低さです。
障害者手帳を使ったサービスが適用される施設は、全国にたくさんあります。
しかしその中には、サービス内容の詳細を理解していない職員さんや、サービスの存在自体を把握していない職員さんも稀にいらっしゃいます。

そのような職員さんに当たると、ちょっと気持ちが沈みます……
せっかくいろいろなサービスがあるのですから、もう少し施設内でサービスの認知を広げておいてほしいのが本音です。
︎申請・更新手続きが大変
3つ目のデメリットは、申請・更新手続きが大変なことです。
障害者手帳の申請・更新には、以下の必要書類を揃えて市町村窓口に提出しなければなりません。
- 申請書(「更新」の欄に印を入れます)
- 医師の診断書/障害年金の証書の写し
- 本人の写真(縦4cm×横3cm)
- マイナンバーカード
これらの書類を揃える作業は、精神病患者にとってものすごく大きな負担がかかります。
体調があまり優れない方は、ある程度症状が落ち着いてから申請するのがおすすめです。

私もこれまで、二度の申請・更新手続きをおこないましたが、ものすっごく疲れました……
精神障害者手帳の“リアル”
ここからは、精神障害者手帳(3級)を2022年から所持している私の、手帳に対する率直な思いを綴ってみたいと思います。
少しでも「精神障害者手帳の“リアル”」を知っていただければ幸いです。
精神障害者に適用されるサービスが少ない
精神障害者手帳は、ほかの障害者手帳と比べて受けられるサービスが少なめです。
「身体障害者手帳は適用されるが、精神障害者手帳は適用外」というサービスも多く、いつも悲しい気持ちになります。
精神障害の病気や症状は目に見えないですし、実態を掴みづらい部分があるのは事実だと思います。
けれど、精神障害も身体障害と同じ、れっきとした「障害」であることに変わりはありません。
精神障害に悩む方は徐々に増えているので、これからはもっとたくさんのサービスが増えるといいなと思います。

精神障害者にも適用されるサービスが増えれば、精神障害に対する社会的理解も深まっていくのではないかと思います。
3級では本格的な支援は受けられない
精神障害者手帳は、等級によるサービスの差がとても大きいです。
福祉タクシーの利用や公共交通機関の割引制度など「1級のみ適用」のサービスが結構ある※①ので、私が所持している3級では受けられないサービスも多いです。
そのため、本格的な支援やサポートを必要としている方が2級や3級で申請に通った場合、サービス内容に物足りなさを感じる可能性が高いように思います。
「自分が何級で通るのか」は手元に手帳が届くまでわからないので、もし申請をする時は「3級の場合はサービス内容に制限がある」ということをあらかじめ理解しておきましょう。

かく言う私も、3級のサービス一覧を最初に知った時の感想は「思ったより少ないな……」でした。
※①:あくまでも、私が住む地域の話です。サービス内容は地域により異なります。
「色眼鏡」で見られることはほぼない
「手帳を提示すると、色眼鏡で見られたり、変に思われたりすることもあるかな?」と心配されている方もいるかもしれません。
私も最初はそうでしたが、実際使ってみると、色眼鏡で見られることはほとんどありません。
どの場所やシチュエーションであっても、だいたいの職員さんは「手帳のご提示ありがとうございます」と、スムーズに対応してくれます。
手帳利用者が年々増えているためか、対応に慣れている職員さんが多く、こちらが気にするほど特別視はされない印象です。
ですので、もしそこに不安を感じている方がいれば、安心していただいて大丈夫です!

ちなみに、手帳を提示する時は、中が見えるように開けて見せるのがおすすめです。
まとめ
本記事では、精神障害者保健福祉手帳のメリット・デメリットや手帳を所持した感想について、体験談をもとにまとめてみました。
精神障害者手帳に対する社会の認知度は未だに低く、受けられるサービスの数も決して多くありません。
しかし、手帳を持つことで得られたもの、経験できたこともたくさんあるので、個人的には「手帳を取得して良かった」と思っています。
もしも手帳の取得を悩んでいる方がいたら、ぜひ前向きに検討してみてほしいです!
